11月に南砺市の飲食店で起きたフグによる食中毒を受け、県は9日、富山市の県民会 館でフグ取扱者緊急講習会を開いた。県東部でフグを取り扱う飲食店従業員ら約160人 が参加し、フグにかかわる関係法規や毒性、種類、処理の方法について理解を深めた。
 宮本哲也厚生部次長があいさつ。生活衛生課の廣瀬修主幹が食品衛生法と県フグ取扱指 導要綱について説明し、「フグを扱う際は必ず種類と産地を確認すること」「精巣を除く 内臓は食べられないので捨ててほしい」などと注意事項を述べた。
 続いて、おさかな普及センター資料館の坂本一男館長が、フグ毒の強さは種類や部位、 海域によって異なるとし、「耐熱性が強く、熱しても毒の量はほとんど減らない」と解説 した。過去12年に全国で発生したフグによる食中毒の事例やフグの種類、生態について も説明した。
 会場の廊下には、トラフグやシマフグ、コモンフグなど17種類のフグの標本が並べら れ、参加者の関心を集めた。県西部地区のフグ取扱者を対象にした講習会は、16日に高 岡市の高岡文化ホールで開かれる。

同記事では,富山県におけるフグ取扱者に対する講習会の開催を紹介.同記事にも紹介されている,同県内でのフグの食中毒に関する状況は,同県HPを参照*1(食中毒症状の皆さんが,ご回復され,本当に何よりです).
2009年11月29日付の中日新聞では,「フグの取り扱い資格の条件や難易度は都道府県で異な」*2る状況を報道されており,「条例で免許制を設けている自治体」として「特に難関とされる東京都」,同県に隣接する「石川県」の取組を紹介.同記事によると,同県では,「調理師免許がなくても,資格のある人のもとで二年間習った上で,二日間の講習を受けて簡単な筆記と実技試験に合格し,県に届け出ればフグを扱うことができ」,「試験に落ちても合格するまで追試」となり「実質的に不合格者はゼロ」*3の状況にある一方で,免許制を採用している東京都では,「受験資格に「調理師免許の保有」「フグ取り扱いに二年以上従事」」していることが資格要件とされており,実態的には「個人差はあるが,取得には五〜十年はかかる」*4状況にあるという.同都における資格要件に関しては,同都HPを参照*5.後者の要件である「二年以上従事」に加えて,「ふぐの取扱いに2年以上従事した者と同等以上の経験を有する者」もその対象とされている.
また,同紙では,「厚生労働省の担当者」の見解(説明)も紹介されており「フグの食習慣には地域性がある」ことから,「一九八三(昭和五十八)年,当時の厚生省は衛生確保のためのフグの取り扱い基準を定めたが,担当者は「どう基準を守らせるかは自治体の仕事」と説明」が紹介されており,同説明を踏まえ,同紙では「制度の統一には否定的」*6との分析を示されている.
「免許的」な制度に関する,森田朗先生の分類を倣えば,「一定の能力を有している否かを判定し,有している者には全て資格を与える」という「資格試験型」が富山県,「多数の申請者の中の特定の者だけ資格を付与する」という「採用試験型」*7が東京都と整理できそう.同制度運用の多様性については,要確認.

*1:富山県HP(分野別案内生活生活・税金食生活・食の安全)「フグ食中毒発生への対応等について

*2:中日新聞(2009年11月29日付)「フグ調理資格に地域差 富山は容易 全員合格

*3:前掲注2・中日新聞(2009年11月29日付)

*4:前掲注2・中日新聞(2009年11月29日付)

*5:東京都HP(健康・安全資格試験免許調理師・製菓衛生師・ふぐ調理師免許のページふぐ調理師免許と試験)「東京都ふぐ調理師試験についてQ&A」(Q3)

*6:前掲注2・中日新聞(2009年11月29日付)

*7:森田朗『許認可行政と官僚制』(岩波書店,1988年)95頁

許認可行政と官僚制

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