佐賀県人事委員会は、通常の試験より約3カ月前倒しで実施する来年度県職員採用試験「行政特別枠」(大学卒程度)の申し込みを18日から受け付ける。過去2回は競争率100倍を超える難関となっており、厳しい雇用情勢の中で今回も応募が殺到しそうだ。
 行政特別枠はほかの自治体や採用時期が早い民間企業に対抗し、多様で優秀な人材を確保しようと08年度から導入。過去2回は5人の採用予定に対して500人を超える応募があり、競争率は08年度が108倍、09年度は116倍の「超難関」となった。
 来年度の採用予定は3人程度。18日から志望動機や自身の将来像などを書いたアピールシートの受け付けを始める。締め切りは2月19日。通過者を対象に4月11日、1次試験を行い、2次試験は5月上旬、3次試験は6月上旬に実施する。申し込み、問い合わせは同委員会、電話0952(25)7295へ。

本記事では,佐賀県における職員採用の取組を紹介.2011年度採用予定者を対象とした職員採用試験において,「行政特別枠」を設ける取組.同枠の取組の詳細に関しては,同県HPを参照*1
同「枠」では,まず,同「試験の特徴」は,「民間企業志望の人も受験しやすい試験」であることが基調とされていることに特徴がある.例えば,「受験申込書及びアピールシートによる受験申込を受け付け」,「まずはアピールシートによる書類選考を実施」する.次いで,「第1次試験」では,「専門試験を行わず,教養試験のみ」を実施.当該「教養試験」は「一般的知識・知能についての5枝択一式の問題を50問出題」される.また,「そのうち8問は,受験者」に「佐賀県に対する理解と関心」持ってもらうことを想定し「佐賀県に関する問題」が出題.また,「佐賀県は全国の自治体の中で最もIT化が進んだ組織をめざしている」との方針から「「情報に関する問題」も2問出題」されることが事前告知されている.その後には,「面接試験」が実施.当該「面接試験」は,「従来試験の2回から3回に増やし,より人物を重視して,選考」*2とも紹介されており,人物重視の採用試験であることが分かる.これは,「試験詳細」を拝見するとその配点からも窺うことができ,つまり,「論文試験」は「100点」である一方で,「面接試験Ⅰ」は「300点」*3との高得点の配当とされている.その後,「最終合格発表が6月上旬と従来試験と比べ,約3ヶ月早」*4期に行うこともまた,特徴的.採用試験の「公民準拠・均衡」*5化とも整理できそう.
同取組に関する,下名の個人的な関心は,同県が位置する市町における採用試験日程管理.
これまでにも,市区町村における採用試験日の「設定」*6においては,「併願者の抑制」のためにも,都道府県レベルの採用試験日程を踏まえつつ,設定される傾向性も観察されている.ただ,2009年7月20日付の本備忘録にて言及したように,各自治体の試験作成を財団法人日本人事試験研究センターが「作成する試験問題を活用」*7する場合,試験問題内容を相異するためにも,「その使用には統一的な日程が条件とされていることから」*8,一旦確定された試験日程の変更が固定化する傾向性も窺える.一方で,市区町村レベルにおいても,2009年5月17日付同年7月26日付同年11月24日付各本備忘録でも言及した「試験日程」の「早期化」*9の様相も観察されており,この場合,同県の同「枠」の取組のように,採用試験のうち,記述試験を独自に作成(又は,記述試験を採用しない方式を採用)することにより,日程管理の自由度を図ることもある.
同県が位置する市町もまた,民間企業の採用日程,そして,同県という,競合他社間との人材確保の競合において,「併願者の抑制」を図るために,採用日程の「早期化」に向けて「同型化(isomorphism)」*10への傾向性を有するかは,要経過観察.

*1:佐賀県HP(人事委員会事務局職員採用情報サイト「汗と涙と熱血魂!!佐賀県職員大募集!!」)「平成22年度県職員採用試験(大卒程度)〔行政特別枠〕を実施します」.なお,同県の同サイトの「熱血」ぶりは,非常に興味深いですね.

*2:前掲注1・佐賀県(職員採用情報サイト)

*3:佐賀県HP(人事委員会事務局職員採用情報サイト「汗と涙と熱血魂!!佐賀県職員大募集!!」:「平成22年度県職員採用試験(大卒程度)〔行政特別枠〕を実施します)「試験詳細

*4:前掲注1・佐賀県(職員採用情報サイト)

*5:西村美香『日本の公務員給与政策』(東京大学出版会,1999年)3頁

*6:福島貴希「都市自治体における職員採用」村松岐夫・稲継裕昭・財団法人日本都市センター編著『分権改革は都市行政機構を変えたか』(第一法規,2009年)155頁

分権改革は都市行政機構を変えたか

分権改革は都市行政機構を変えたか

*7:石井淳子「地方公務員の採用の現状」大森彌編『行政管理と人材開発』(ぎょうせい,1993年)113頁

行政管理と人材開発 (21世紀の地方自治戦略)

行政管理と人材開発 (21世紀の地方自治戦略)

*8:前掲注7・石井淳子1993年:113頁

*9:前掲注6・福島貴希2009年:155頁

*10:DiMaggio Paul J.and Walter W. Powell.1991 in Walter W. Powelland Paul J.DiMaggio,The New Institutinoalism in Organizational Analysis,Chicago UP,66

The New Institutionalism in Organizational Analysis

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