豊後高田市は同市見目の香々地庁舎(旧香々地町役場)を4月以降、市内外の企業・団体に貸し出す。05年3月の合併後、同庁舎で勤務する職員も減って空き室が目立つため、活用法を模索していた。全館借り入れが条件で、市などによると庁舎を丸々貸し出すのは珍しいという。
 香々地庁舎は82年完成で、鉄筋コンクリート2階建て延べ約1800平方メートル。貸し出し期間は5年間で契約更新でき、長期の貸し出しも可能という。希望する企業・団体は2月1日〜3月31日に具体的な活用計画書を市に提出。料金は内容をみて決める。
 同庁舎にある地域総務2課と水産地域産業課は4月から隣の香々地公民館に移り、証明書発行など窓口業務を続ける。問い合わせは市財政課(0978・22・3100)。【大漉実知朗】。

本記事では,豊後高田市において,同市の庁舎を全館貸出を開始することを紹介.貸出を行うのは,同市の3つの庁舎(「高田庁舎」「真玉庁舎」「香々地庁舎」*1)のうち「香々地庁舎」.同庁舎では,現在,「香々地市民センター」「地域総務二課」「子育て・健康推進課」「水産・地域産業課」*2が設置されている分庁方式が採用されてきた模様.詳細に関しては,同市HPを参照*3
「貸付料」は,「活用内容」により「貸付料の決定」.「貸付期間」は「5年間」.ただし,「以降も5年ごとの貸付期間の更新」も可能とあり「長期貸付も可能」.「貸付を行う条件」としては,本記事でも紹介されているように「全館貸付」であり,「部分的に貸付」は不可.また,「物件の改修,修繕,その他維持管理に要する費用は,借受者の負担」であり,「転貸」も不可.また,「貸付物件のうち,市が継続して利用する部分が」:「2階」の「1室:40平方メートル」*4は残るとのこと.
2008年7月1日付同年9月18日付2009年4月17日付同年7月10日付2010年1月10日付の各本備忘録でも取りあげた,いわゆる「分庁方式」.2007年度(2007年11月〜2008年1月)に,財団法人日本都市センターにより,全国の市区に対して実施されたアンケート調査(回収率74.0%)の結果からは,「平成の大合併」を経験した都市自治体(303自治体)のうち,「本庁舎が手狭になるのを回避」*5すること等を理由に同方式を選択されたことが観察できる.同市では,その後の職員減を受けて,庁舎の余剰空間化.その結果,本記事にもあるように,2008年6月24日付同年12月6日付2009年1月9日付同年12月21日付の各本備忘録にて取り上げた2006年の地方自治法改正(第238条の4第4項)による行政財産の貸付範囲の拡大を通じ,当該空間の利活用の試み.分庁方式を採用された自治体における,その後の執務空間の状況は,興味深そう.要確認.

*1:豊後高田市HP(豊後高田市例規集)「豊後高田市役所の位置を定める条例」(平成17年3月31日,条例第1号)第2条

*2:豊後高田市HP(市の概要市役所機構図)「事業者募集!(香々地庁舎をお貸しします)

*3:豊後高田市HP「事業者募集!(香々地庁舎をお貸しします)

*4:前掲注3・豊後高田(事業者募集!)

*5:中西規之「合併が市役所事務機構に与えた影響」村松岐夫・稲継裕昭・財団法人日本都市センター編著『分権改革は都市行政機構を変えたか』(第一法規,2009年)225頁

分権改革は都市行政機構を変えたか

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