小さくないけれども「ちぃばす」。東京都港区のコミュニティーバスが、導入時に公募で名づけられた愛称とのギャップを抱えながら、走り続けている。
 2004年の運行開始当初は、名前通りの小型バス(定員33人)。ところが利用者増で満員が続き、車体が2メートルほど長い車両(同57人)に昨秋、切り替えざるを得なかった。ただ、「地域に愛される」意味もあり、愛称は残している。春には新路線に小型車両を再投入する予定。愛称とは逆に「地域の期待は大きいようです……」と担当者。

本記事では,港区におけるコミュニティバスの取組を紹介.同バスに関しては,同区HPを参照*1.(生来の持病ともいえるmotion sicknessをもつ下名にとってはやや皮肉的ですが)来年度の講義・演習で扱う都市交通における素材の一つとして,コミュニティバス関連の情報を収集していた折,同区の「定員57人」*2とは随分と多いなあ,と思っていたなかでの本記事.なるほど.
同区のように乗客者増加による「小さくないけど「ちぃばす」」の状況に対して,2010年2月3日付の毎日新聞では,高岡市における「こみちブルールート」*3,同日の読売新聞による大阪市における「赤バス*4の乗客数が報道されている.これらからも「バス離れ」*5の傾向性は窺われそう.武蔵野市の「ムーバス」との対比のなかで,「地域条件は稀であるにもかかわらず,他地域のコミュニテバスでも「ムーバス」と同様の廉価な運賃」が「設定されたり,既存の路線バスが運行されていない地域と市内の公共施設を単純に結ぶことで長距離の路線が組まれたりしている」ことで,「市民の移動実態や運行する地域の条件が「ムーバス」とは異なることを考慮せずに導入されたコミュニティバスが多い」*6との観察結果も示されている.
「模倣導入」は「政策立案のコストは小さい」ものの,「政策転換に伴う諸々のコストは避けがたい」*7ということか.要確認.

*1:港区(くらし・手続き住まいとまち)「 みなとコミュニティバス「ちぃばす」

*2:港区(くらし・手続き住まいとまち みなとコミュニティバス「ちぃばす」 )「コミュニティバス「ちぃばす」の紹介

*3:毎日新聞(2010年2月3日付)「【富山】高岡市 コミバス乗客 9.8人に増加

*4:読売新聞(2010年2月3日付)「大阪市「赤バス」存廃 11年度末まで判断先送りに

*5:吉田樹「地域の暮らしと公共交通」荻原清子編著『生活者が学ぶ経済と社会』(昭和堂,2009年)205頁

生活者が学ぶ経済と社会

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*6:前掲注5・吉田樹2009年:213頁

*7:西尾勝『行政の活動』(有斐閣,2000年)183頁

行政の活動

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