議員提出条例を検証する県議会の検討会(西塚宗郎座長、十人)は八日、県行政計画の議決対象を定めた条例の見直しについて非公開で委員協議し、県実施計画「戦略計画」を議決対象にすることを全会一致で決めた。十二日の検討会採決を経て、条例改正案が県議会第一回定例会二月会議に議員提出される見通し。
 戦略計画の議決対象化をめぐっては、公明が前回会合で「現状でも執行部と議会の協議の場が設けられている」と反対を表明。全会一致による条例見直しが難しくなる中で、再度協議の場を設定して「議論を尽くそう」との声が強く、結論は先送りされていた。公明はこの日、「議会が一致団結して取り組むのが望ましい」と柔軟姿勢に転じた。三谷哲央議長(新政みえ、四期、桑名市桑名郡選出)が二日の定例会見で「(全会一致に)ならなくても、そこへ至る努力を積み上げるのが大切」と全会一致を望む旨の発言を重く受け止めたとされる。
 さらに、戦略計画の議決対象項目「政策」「施策」「その他」のうち、会派間で意見が分かれていた「その他」について、議会側の判断で事務事業を入れることもあり得るとしていた最大会派の新政みえが一歩引いて「最終的には知事の判断」とすることを容認。双方が歩み寄り、約一時間の協議の末、全会一致で見直し案がまとまったという。
 野呂昭彦知事はこれまで、戦略計画を「知事と県民との約束であるマニフェスト政権公約)の実現に向けて策定する計画」と指摘。「今後四年間の知事の予算編成権、予算提出権を拘束するのでは」と、議決対象化に難色を示しており、今後の対応が注目される。

本記事では,三重県議会における議決事項に関して紹介.2009年10月30日付の本備忘録でも紹介した,三重県議会における「三重県行政に係る基本的な計画について議会が議決すべきことを定める条例」の改正に関する検討.
同条例第2条では,地方自治法第96条第2項に基づき「計画期間が五年を超えるもの」に限定した上で,「議会の議決すべき事件」*1を対象としてきたものの,いわゆる実施計画レベルもその議決事項とすることを同県議会におかれた「議員提出条例に係る検証検討会」において検討.2010年1月27日に開催された第28回検討会*2では,その改正案を「県行政全般に係る中長期的な目標を設定し,当該目標を達成するための政策,施策,その他を総合的かつ体系的に示した計画」と規定することとして,同案に関して「会派調整」の扱いとされていた.本記事を拝読すると,その結果,「全会一致で見直し案」として取りまとめられる模様.「現実的な資源の制約のもとで優先順位を考慮」*3した取組となるか,条例改正案が成立した場合の,議決状況もまた,要経過観察.

*1:三重県HP(三重県法規集データベース目次)「三重県行政に係る基本的な計画について議会が議決すべきことを定める条例」(平成13年3月27日 三重県条例第47号)

*2:三重県HP(三重県議会県議会の活動検討会等:「議員提出条例に係る検証検討会:第28回(開催2010年1月27日))「第28回議員提出条例に係る検証検討会 概要版」7頁

*3:廣瀬克哉『「議員力」のススメ』(ぎょうせい,2010年)24頁

「議員力」のススメ

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