宮城県塩釜市は新年度、市民1000人に覆面調査員として協力してもらい、市内の中小商店から優良店を選んで表彰する「私の好きなお店大賞」を実施する。消費者の目で店の長所、短所を再発見し、商店街の活性化を図るのが狙い。指摘事項は商店に伝え、それぞれの店の魅力向上に役立ててもらう。
 市が助成金を出し、市商業協同組合が実施主体になる。市民が務める覆面調査員は身分を明かさずに店を訪れ、普段の接客などの問題点を探る。通常はプロの調査員が行うが、この事業では地元の事情に詳しい市民の目で店の利点、改善点を探ってもらうことにした。市は6月にも高校生以上の市民を公募する。対象は市内の小売店、飲食店、サービス業で、売り場面積1000平方メートル以上の大規模小売店や全国チェーン店は除く。調査を希望する店舗は商業団体を通じて募集し、約100店の参加店を目指す。
 覆面調査は7、8月に、市民に参加店から訪問する1店を選んでもらって実施。好きな理由を挙げてもらう一方で、店のディスプレーや接客態度、商品知識の問題点などを調査票に記入する。調査票を提出した調査員には、参加店で使える1000円分の買い物券を謝礼として贈る。調査票を分析し、上位10店ほどを対象にプロの覆面調査員による2次審査を9月に実施。10月に結果を発表する。最優秀賞の店は11月に表彰。表彰式に合わせて商業コンサルタントらを招き、地域商店の課題を探るシンポジウムも開催する。
 市は「良い店づくりには何が必要か、店も消費者もあらためて気付くことがあるはず。店は課題を把握する一方で、自分の店が褒められた点を励みにしてもらいたい」と話す。事業の予算額は300万円。市は継続して毎年実施する予定。

本記事では,塩釜市において,市内の中小商店の優良店把握の取組について紹介.同市HPでは,現在のところ,詳細は把握できず,残念(事前の制度情報もまた,「覆面」ということではないかと思いますが).公表後,要確認.
本記事によると,「市が助成金」を交付し,同「市商業協同組合が実施主体」となり,「地元の事情に詳しい市民の目」が「市民が」「覆面調査員」としてお店に来店する仕組み.市民が覆面調査を行うことで,覆面調査の特性でもある「総合化せず,ラフな基準で,不明確かつ不完全で,外部者から使い勝手のよい評価基準の方が事後的評価値としては重要」*1との見解からすれば,その有効性も窺えそう.興味深い.
一方で,「嗅ぎ分ける能力」*2を期待されるであろう覆面調査員としての「市民」の選考手続き次第では,「調査標準の確立」*3へと結びつくかは判然とはしないものの,本記事では「上位10店ほどを対象にプロの覆面調査員による2次審査」も実施するとも紹介.これにより,「①調査分析手法の標準,②検証のための判定基準,③調査タイミングもすべて,「いつもと同じにやる」こと」*4が可能となりそうか.要確認.

*1:武智秀之『福祉行政学』(中央大学出版会,2001年)132頁

福祉行政学

福祉行政学

*2:谷岡一郎『データはウソをつく』(筑摩書店,2007年)147頁

*3:石井淳蔵マーケティングを学ぶ』(筑摩書房,2010年)263頁

マーケティングを学ぶ (ちくま新書)

マーケティングを学ぶ (ちくま新書)

*4:前掲注3・石井淳蔵2010年:263頁