総務省は8日、2009年度地方税収の決算見込み(速報値)を公表した。地方法人特別譲与税を含めた実質的な地方税収入額は前年度決算比9.1%(3兆5283億円)減の35兆3433億円だった。同省によると、比較できるデータがある1989年度以降で最大の減収。景気低迷で法人関係税収が大きく落ち込んだのが響いた。
 地方税収が前年度を下回るのは2年連続。また、09年度地方財政計画額(36兆9956億円)を4.5%下回った。地財計画割れは3年連続となる。

本記事では,総務省による「平成21年度地方税収入見込額」の公表を紹介.同額については,同省HPを参照*1.平成「20」年「決算」との対比では,税収総額では,「9.1」%の減.その内訳を拝見すると,個人住民税では「1.6」%減,地方法人二税では「43.2」%減,地方消費税が「2.5」%減*2とある.悩ましい.
一方,2010年7月7日付の共同通信にて報道*3されている,全国知事会に設置された「地方財政の展望と地方消費税特別委員会」が取りまとめた『地方税源の確保・充実等に関する提言(案)』を拝読すると,「引き続き徹底した行政改革を推進することはもとより」と言及されつつ,「景気の回復が図られることや国民の理解が得られることを前提」とされたうえで,「国・地方を通じる税制の抜本的な改革を行う際」に「地方消費税を引き上げる必要がある」*4との認識が示されている.なた,2010年7月8日付の中国新聞では,総務省を通じて「滞納者が所有する自動車の差し押さえなど滞納処分の強化」「民間コールセンターの電話応対ノウハウを活用した督促」「コンビニでの収納やクレジットカード決済の導入」等の「徴税強化や納付方法の多様化」も「あらためて要請」*5も想定される模様.
確かに,増収方策の検討とその具体化は不可欠.一方で,税収減分への対応として,「地方財政の二重構造」*6の観点からは,「地方財政度運営」の側面としての地方消費税の引き上げと,「自治体財政」の側面としての徴税強化という2つの範疇における「地方財政」の持続可能性からは,「不確実性」を有する税収への「複数の可能性」*7想定しつつ,「ダウンサイジング政策を効果的に策定し実施する」「計画」*8もまた,選択が想定される路線の一つなのだろうか.考えてみたい.

*1:総務省HP「平成21年度地方税収入見込額

*2:前掲注1・総務省(平成21年度地方税収入見込額)1頁

*3:共同通信(2010年7月7日付)「「地方消費税の拡充」を提言 全国知事会の特別委

*4:全国知事会HP(全国知事会の活動全国知事会議・委員会・会議:「「第20回地方税制小委員会」の開催について(2010年7月 7日)『資料1 地方税源の確保・充実等に関する提言(案)―当面の課題を中心に―』(全国知事会地方税制小委員会)2頁

*5:中国新聞(2010年7月8日付)「自治体に徴税強化要請へ 総務省、地方税の減収受け

*6:小西砂千夫『基本から学ぶ 地方財政』(学陽書房,2009年)26頁

基本から学ぶ地方財政

基本から学ぶ地方財政

*7:木下理恵・角和昌浩「シナリオ・プランニング ―不確実性への対応」城山英明, 角和昌浩, 鈴木達治郎編著『日本の未来社会』(東信堂,2009年)31頁

日本の未来社会―エネルギー・環境と技術・政策

日本の未来社会―エネルギー・環境と技術・政策

*8:森田朗自治体における課題解決と政策法務の役割」『ジュリスト』No.1382,2009.7.15,85頁

Jurist(ジュリスト)1382

Jurist(ジュリスト)1382