大阪府橋下徹知事は7日、サッカーのワールドカップ(W杯)日本代表の岡田武史監督に府民栄誉賞に当たる「感動大阪大賞」を贈呈することを明らかにした。既に大阪市が表彰を決めており、岡田監督は8日に府庁と市役所を訪問、ダブル受賞する。
 府と市を解体・再編する「大阪都構想」を提唱、平松邦夫市長と対立を深めている橋下氏は「監督からすれば府と市でどっちか一つにしてよ、府民代表(としての表彰)なんだったら市民も入っているだろうというのがあると思う」と述べ、表彰でも府と市の“二重行政”を指摘した。府庁で記者団の取材に答えた。府生涯スポーツ振興課によると、岡田監督は高校卒業まで大阪市で過ごした。岡田監督のほかにも、大阪出身の本田圭佑選手、ガンバ大阪所属の遠藤保仁選手ら計4人も表彰対象。日程の都合がつかない選手らには、府から賞状を届ける。

本記事では,大阪市大阪府における,サッカー日本代表監督への表彰の取組を紹介.
本記事を拝読すると,大阪市では「大阪市長特別表彰」として「大阪元気アップ大賞」*1大阪府では「感動大阪大賞」として交付.同市・同府の交付要件としては,同市の同賞の要件等は把握できず,残念(同市の「表彰規則」*2に基づく表彰の一種なのでしょうか).一方,同府の同賞に関しては,同府HPを参照*3.同府の同賞では,「大阪府出身の者,大阪府に住所を有する者,大阪府内に勤務している者,大阪府を主たる活動の基盤としている者又はその他大阪府に関係する者」を対象に,「世界的レベルの大会や催し等において優秀な成績をあげた者又は顕著な活躍をした者」,「その他知事がこの顕彰に値すると認めた者で」「府民に深い感動を与え,かつ,府の施策に大きく貢献をした者」を交付されている.本記事では,両「表彰」を通じて「府と市の“二重行政”」との認識も示されたことも報道.
「住民から見て手続きが煩雑であるなどの障害」*4が指摘されるとして,2009年4月26日付及び2010年4月10日付の両本備忘録でも言及した「二重行政」という「ドクトリン」*5.「特例主義」*6ともされる政令指定都市制度に起因する,政令指定都市道府県との「特例的」な課題としても想定されている一方で,例えば,「水や食料などの物資を宇宙ステーションに送り届け」*7る「国際宇宙ステーションでの任務を果たして帰還」された宇宙飛行士山崎直子さんへの表彰の取組に関する報道を拝読すると,山崎さんがご出身である,松戸市からは「名誉市民」*8,そして,千葉県からは「名誉県民」*9の表彰がそれぞれ交付されている.これまた,上記の認識を持ってすれば「二重行政」とも整理されなくもなく,必ずしも政令指定都市道府県間で「特例」的に生じている課題ではなく,むしろ「普遍」的な課題とも考えられそう.「二重行政」の範疇について,考えさせられる.

*1:大阪市HP(報道発表資料一覧ゆとりとみどり振興局報道発表資料(2010年7月))「岡田武史サッカー日本代表監督に対する大阪市長特別表彰(大阪元気アップ大賞)についての詳細が決まりました

*2:大阪市HP(大阪市の条例・公報条例・規則等大阪市例規データベース )「表彰規則」(昭和53年12月28日規則第121号)

*3:大阪府HP(都市魅力・観光スポーツ・公園・レクリエーション)「感動大阪大賞(知事賞詞)

*4:真渕勝『行政学』(ぎょうせい,2009年)391頁

行政学

行政学

*5:牧原出『行政改革と調整のシステム』(東京大学出版会,2009年)20頁

行政改革と調整のシステム (行政学叢書)

行政改革と調整のシステム (行政学叢書)

*6:金井利之『自治制度』(東京大学出版会,2007年)202頁

自治制度 (行政学叢書)

自治制度 (行政学叢書)

*7:大鐘良一・小原健右『ドキュメント宇宙飛行士選抜試験』(光文社,2010年)37頁

ドキュメント 宇宙飛行士選抜試験 (光文社新書)

ドキュメント 宇宙飛行士選抜試験 (光文社新書)

*8:東京新聞(2010年7月3日付)「山崎さん「市民と体験共有したい」 松戸名誉市民授与式

*9:東京新聞(2010年7月7日付)「山崎直子さんに県民栄誉賞 県庁で授与