トラックの代わりに地下鉄で宅配便を運ぶ全国初の社会実験が2日、札幌市で始まった。市営地下鉄東西線の新さっぽろ―大通駅間(12キロメートル)を対象に、15日まで1日3便を利用する。安全性や二酸化炭素(CO2)の排出削減効果を調べ、実用化の可能性を検討する際に役立てる。
 実験は、ヤマト運輸や建設コンサルティングのドーコン(札幌市)などでつくる「都市型新物流システム研究会」と市が共同で実施する。初日の第1便は午前10時半、大通駅を出発。ヤマトの従業員が2人1組で、専用の荷物箱を載せた台車4台を車いす用のスペースに置き、無事搬送した。
 居合わせた市内在住の女性(77)は「危険なものは入ってないの?」とちょっと不安な様子。荷物を運んだヤマトの従業員は「トラックに比べ時間も正確。体力の消耗も少ないのでは」とした。

本記事では,札幌市において,同市営地下鉄を利用した物流の社会実験の取組を紹介.同取組に関しては,同市HPを参照*1
実施期間は,「平成22年9月2日」から「9月15日」迄の「2週間」.「地下鉄乗車区間」は「新さっぽろ駅」と「大通駅」の間となり,「乗車率の低い昼間時間帯に行う」こととなり,「行程1」は「10時半」に「大通駅乗車→新さっぽろ駅」,「行程2」として「13時半」から「新さっぽろ駅乗車→大通駅」,「行程3」として「13時半」に「大通駅乗車→新さっぽろ駅」の3便で実施.「人員体制」としては「人員2名」と「地下鉄輸送用にカスタマイズ」された「荷物キャリー1個を1ユニット」として,「8ユニット16名で対応」*2されるとのこと(結構な規模ですね).ただ,「地下鉄車内位置」としては,「後方(前方)2両目車いすスペースを必要を使用」*3ともあり,車いすを利用される方との優先性に関しては,気にはなる.
「政策転換に伴う諸々のコストは避けがたい」ものの,「政策立案のコストは小さい」ものの「模倣導入」*4が他の地下鉄を敷設されている自治体(勿論,地下鉄のみならず,路線バス,路面電車においても,その潜在的な利用可能性が想定されなくはありませんが)においても,その利用時刻や路線等の制約は想定されるものの,同市の社会実験を通じて「不確実性減少」*5に結びつき,同種の利用可能性が試みられてみると興味深そう.

*1:札幌市HP(報道発表市資料平成22年8月)「地下鉄を活用した物流の社会実験 実施概要」(札幌市・都市型新物流システム研究会2010/08/20)

*2:前掲注1・札幌市(地下鉄を活用した物流の社会実験 実施概要)1頁

*3:前掲注1・札幌市(地下鉄を活用した物流の社会実験 実施概要)4頁

*4:西尾勝『行政の活動』(有斐閣,2000年)183頁

行政の活動

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*5:白取耕一郎『行政における「実験」の機能・方法と限界』(東京大学行政学研究会叢書5,2007年)148頁