松本市は1日、市職員のマイカー通勤を原則禁止する「新しいエコ通勤」を始めた。丸の内の市役所本庁舎には、職員がバスや自転車で次々に到着。これまで約130台で満杯状態だった近くの職員駐車場の車は27台に減った。まずまずの天気で、自転車に切り替えた職員からは「気持ちがいい」との声の一方、悪天や帰宅の遅れを心配する声も。市は1年間続けた後、対応をあらためて検討する。
 「すがすがしい。エコ通勤は基本的に歓迎です」。本庁舎裏の駐輪場。同市入山辺の50代男性はマウンテンバイクから降り立った。自宅から約8キロ。「でも、帰りが上り坂になることや雪が降った時が心配」とも。同じく自転車にした40代女性は、帰りの買い物で荷物が増えることや、食事の用意が遅れることを考えると「自転車は負担になる」という。「これからどうしようかと考えながら通勤しました」
 安曇野市の自宅から約18キロを通う40代男性はバイクに切り替えた。「天気が良いので今日は気持ち良かった。慣れれば苦にならない」。ただ、体調が優れないときや、仕事で例外的にマイカーを使う場合も考慮し、本庁舎近くに借りている民間駐車場は解約していないという。新しいエコ通勤は、二酸化炭素(CO2)排出削減や公共交通機関利用の意識を高める狙い。本庁舎や出先機関にマイカーで通っていた約1800人(嘱託、臨時含む)が対象で、全職員の67%を占める。通勤時間が全体で90分以上、公共交通機関の所要時間が60分以上、持病がある−などの職員は除く。

本記事では,松本市における,同市職員による「マイカー通勤」禁止の取組を紹介.
同市市長もその実施に「びっくり」*1された同市における「エコ通勤の積極的な取組みに対する職員の意向調査」の「実施」をもとに,「相当な覚悟で職員諸君が積み上げてきた」*2同取組.2010年「10月1日から1年間の試行期間」において,「全職員」が「対象」とされ「職員にとって家庭の事情を含め色々な問題があ」ることを踏まえて,「基本的には職場の所属長」が「考慮」されるものの,「基本的には全職員」が「「新しいエコ通勤」というスタイル」*3を採用される,とのこと.
本記事では,同取組において,「マイカー通勤を原則禁止」という「構造的方策」*4が設けらたことが報道されているものの,上記記者会見を拝読させて頂くと,必ずしもその「スタイル」受容は,外的な「構造的方策」により強いられたものばかりではない模様.一方で,「内発的動機付け」*5に関しては,2008年8月8日付2009年8月3日付同年10月5日付2010年1月10日付同年4月11日付の各本備忘録にて記録し,職員通勤における「モーダルシフト*6方策として,その通勤手段を「選択者が自分自身の判断で選択するようにしむけ」*7るための仕組みの一つとして想定されなくもない,「政策的手当」(と,下名が勝手に名付けています)に関しては,同市の取組は把握できず.
まずは,同取組の詳細に関しては,要確認ではあるものの,「行動変容(behavior modification)」*8に至る要因として,あくまで,第一義的には,「エコ」という規範の受容によるものと考えることが適当なのだろうか.大変興味深い.

*1:松本市HP(市のあらましこんにちは市長です市長記者会見)「市長記者会見2010年02月04日

*2:松本市HP(市のあらましこんにちは市長です市長記者会見)「市長記者会見2010年08月03日

*3:前掲注2・松本市([市長記者会見2010年08月03日)

*4:藤井聡社会的ジレンマの処方箋』(ナカニシヤ出版,2003年)36頁

社会的ジレンマの処方箋―都市・交通・環境問題のための心理学

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*5:池田謙一「行政に対する制度信頼の構造」『年報政治学2010‐Ⅰ政治行政への信頼と不信』(木鐸社,2010年)17頁

政治行政への信頼と不信 (年報政治学)

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*6:藤井聡・谷口綾子『モビリティ・マネジメント入門』(学芸出版社,2008年)18頁

モビリティ・マネジメント入門―「人と社会」を中心に据えた新しい交通戦略

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*7:リチャード・セイラー,キャス・サンスティーン『実践行動経済学』(日経BP社,2009年)143頁

実践 行動経済学

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*8:前掲注4・藤井聡2003年:36頁