富岡市は11年度の予算編成にあたり、財政部門が事業部門からの予算要求を審査する現行の「査定方式」を改め、一定の予算枠を事業部門にあらかじめ配分する「枠配分方式」に変更することを決めた。枠配分方式は03年度に導入されたが、岩井賢太郎前市長は07年度から査定方式に変更していた。4月に初当選した岡野光利市長が4年ぶりに復活させる。
 財政課によると、枠配分方式に変更するのは、厳しい財政状況の中、事業部門が主体的に判断することで、行政運営の効率化と住民サービスの向上を図るのが狙い。同方式の導入により、新年度予算の経費を枠配分経費と枠配分外経費(人件費、扶助費、公債費など)に区分する。枠配分経費は予算額の3分の1の約50億円になる見込み。
 市は今月から予算編成方針をホームページで公開しており、編成過程は予算が内示される11年2月中旬以降に公表する予定。【畑広志】

本記事では,富岡市における予算編成にて「枠配分方式」を「4年ぶりに復活」される方針であることを紹介.同方式の詳細に関しては,同市の「平成23年度平成予算編成方針について(通知)」を参照*1
「各部局が主体的に事業の方向性を判断」され,「コスト意識の向上と質の高いサービスの提供による効率的な行政運営」を図るために,「各部局」で「事業の取捨選択を行」い「枠配分された一般財源と事務事業に係る特定財源をもとに予算を編成すること」*2を目的に再採用された同方式.同方式の対象となる,同市における「枠配分経費」は,「各事務事業の実施に伴い収入される特定財源と枠配分された一般財源をもと」「各部局において事業を組み立てて要求」されることとなり,「新規事業及び拡大事業の財源」に関しては,同枠内で,「スクラップ・アンド・ビルド」を行い「枠配分の範囲内で調整された予算要求」*3が図られる.そして,要求される枠に関しては,「各部局単位で配分」されることになるため,「課単位及び事業単位での配分」に関しては,「各部局内において十分な調整をもって予算要求」されることが求められる.そして,これらによる調製された要求される枠に対しては,「財政課において内容の確認等を行う」ものの「基本的には予算化が尊重」*4されることになる.そのため,いわゆる「局企画」「部企画」*5ならぬ,「局財政」「部財政」(又は,「局総務」「部財政」でしょうか)の担当組織・職員への部内財政統制が,全庁的な財政課からその査定業務が委任されることとなり,その統制の領域が実質的に拡大されるとも,考えられなくもない.実際はどうだろうか.要確認.
2008年4月2日同年10月25日2009年10月17日同年10月18日付同年11月27日付にて取り上げた「枠配分方式」.廃止と採用を巡る判断は,まさに「自治型」*6ではあるものの,同方式による各部局の「主体的な判断」による「効率化」のための領域は,依然,残余状況にあるものであるのだろうか.「集中化の中の分散化,分散化の中の集中化」*7へと揺れ動くなかで,前回の同方式から「査定方式」への変更目的は,要確認.

*1:富岡市HP(富岡市について各課のページ財政課平成23年度予算編成方針を公開します。)「平成23年度 予算編成方針について(通知)」(富岡市長岡野光利,平成22年10月22日)

*2:前掲注1・富岡市平成23年度 予算編成方針について(通知))1頁

*3:前掲注1・富岡市平成23年度 予算編成方針について(通知))4頁

*4:前掲注1・富岡市平成23年度 予算編成方針について(通知))5頁

*5:打越綾子『自治体における企画と調整 事業部局と政策分野別基本計画』(日本評論社,2004年)64〜65頁

自治体における企画と調整―事業部局と政策分野別基本計画

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*6:伊藤修一郎『自治体政策過程の動態』(慶應大学出版会,2002年)85頁(本務校の学部演習での今週のテキスト.部分部分を摘まみ読みはさせて頂いているものの,冒頭から結論まで通読させて頂いたのは,2002年に購入・拝読以来.火曜日の演習の準備のために,昨晩から書き込みと付箋を貼りつつ読み進めてみると,先の拝読時での書き込みと付箋以外にも,なるほどなるほどと,新しい刺激が多く,これらで満身創痍状態.)

自治体政策過程の動態―政策イノベーションと波及

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*7:田尾雅夫「開かれた市政運営」村松岐夫・稲継裕昭・財団法人日本都市センター編著『分権改革は都市行政機構を変えたか』(第一法規,2009年)184頁

分権改革は都市行政機構を変えたか

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