国が法令で地方自治体の仕事を縛る「義務付け」「枠付け」の見直しに向けて47都道府県が15日、保育所の設置基準など計23項目の構造改革特区を片山善博地域活性化担当相に一斉提案した。
 国の規制を緩和、撤廃して地域の実情に応じた施策を実現するのが狙い。都道府県は賛同する特区案ごとに提案グループを編成し、23項目のうち全都道府県による3項目を含め、各特区案とも都道府県の3分の2を超える前例のない共同提案となる。代表で提案した山田啓二京都府知事は特区案について「条例で責任を持って行う」と述べ、片山氏は「できるだけ早く検討していきたい」と認定に前向きな考えを示した。23項目は、保育所基準のほか、障害者の就労支援施設設置を社会福祉法人だけでなくNPO法人にも認めたり、保育所への給食の外部搬入やリハビリ病棟の廊下幅の規制緩和など。

全国知事会は15日、国が法令で自治体の業務を縛る「義務付け・枠付け」を見直すため、構造改革特区を創設する提案を、片山善博総務相に提出した。市町村が独自に保育所の面積基準などを決められるようにすることなど計23項目を盛り込んだ。
 提案では、児童1人当たり3.3平方メートルとされる保育所の面積基準が「全国統一の基準として問題」と指摘。その上で、市町村が独自で基準を設定できるよう、特区創設を求めた。保育士などが自宅で乳幼児を預かる「保育ママ」についても、専用の部屋が9.9平方メートル以上との基準を、市町村が決められるよう提案した。

本記事では,47都道府県がグループ化を図り,構造改革特区の申請を行ったことを紹介.詳細は,全国知事会HPを参照*1
具体的には,全国知事会に設置された地方分権推進特別委員会における「協議」*2の結果を踏まえて,「義務付け・枠付けの現状」及び「進まない地域主権改革」に対して,「各都道府県からの個別提案は先延ばしの連続」「法案は一部評価するが,望む姿には程遠い」との認識に基づき,「第3の道」としての「2/3を超える都道府県による共同提案」を行い,「23項目を選定」*3し,申請.「特区共同提案事項の概要」を拝読すると,47都道府県による共同提案された事項は,「指定障害者福祉サービスの事業の設備・運営基準を「参酌すべき基準」にすることで,社会福祉法人に限定されている福祉的就労(就労継続支援B型)の実施主体をNPO法人等へ拡大する」こと,「下水道事業予定地等の有効活用を図るため,国庫補助目的外への使用制限を緩和する」こと,「宿泊型自立訓練に係る最低定員(20人)・地域移行支援員の必置義務・居室面積(7.43㎡以上)を「参酌すべき基準」とする」*4の3項目.
ただ,提案事項のなかでは,「上意下達の「従うべき基準」」*5の事例として整理されている,「保育所の人員・設備・運営基準を「参酌すべき基準」とする同基準を定める権限,施設の設置認可・指導監督権限を保育の実施主体である市町村に移譲する」*6に関しては,41都道府県の提案とある.同意された都道府県名を確認しようと思い,「構造改革特区の共同提案書」*7を拝読すると,「待機児童数」が「平成22年4月1日現在」で,「0名」*8新潟県富山県,石川県,福井県山梨県,長野県,鳥取県香川県佐賀県,宮崎県と,全てが「提案主体」として加わられている一方で,「待機児童数」が「53名」の岩手県,「204名」の山形県,「31名」の山口県,「852名」の福岡県,「38名」の長崎県,「387名」の鹿児島県は,「提案主体名」には加わられていない模様.「全国展開を志向する普遍主義」*9的な行動様式から想定すれば,待機児童を現在有する各県が「実績に基づく」*10申請を図られることが,説得的とも想定されなくもないものの,何故なのだろうか.「ペアを組みダンスを踊る」*11ことの難しさか,又は,ペアを組まずとも,いわば,ソロで「踊る」対策が図られているからなのか,同会内における都道府県間の「協議」過程は,要確認.

*1:全国知事会HP(全国知事会の活動)「「義務付け・枠付けの見直し」等のための構造改革特区の共同提案書の片山地域活性化担当大臣への手交について(2010年11月15日)

*2:全国知事会HP(全国知事会議・委員会・会議:「「第2回地方分権推進特別委員会」の開催について(2010年11月2日)

*3:全国知事会HP(全国知事会の活動:「「義務付け・枠付けの見直し」等のための構造改革特区の共同提案書の片山地域活性化担当大臣への手交について(2010年11月15日))「「義務付け・枠付けの見直し」等のための構造改革特区の共同提案の取組(概要)」(全国知事会,平成22年11月15日)1頁

*4:全国知事会HP(全国知事会の活動「義務付け・枠付けの見直し」等のための構造改革特区の共同提案書の片山地域活性化担当大臣への手交について(2010年11月15日))「特区共同提案事項の概要」1〜2頁

*5:前掲注3・全国知事会(特区共同提案事項の概要)2頁

*6:前掲注4・全国知事会(特区共同提案事項の概要)1頁

*7:全国知事会HP(全国知事会の活動「義務付け・枠付けの見直し」等のための構造改革特区の共同提案書の片山地域活性化担当大臣への手交について(2010年11月15日))「構造改革特区の共同提案書」1頁

*8:厚生労働省HP(報道発表資料報道発表資料 2010年9月保育所関連状況取りまとめ(平成22年4月1日))「(資料4) 22/4/1 全国待機児童マップ (都道府県別)

*9:金井利之『自治制度』(東京大学出版会,2007年)216頁

自治制度 (行政学叢書)

自治制度 (行政学叢書)

*10:松井望「都道府県と市町村の協議と受容圏−「条例による事務処理特例」制度の創設について」『都市政策研究(首都大学東京都市政策研究会・編集)』第2号,2007年,140頁

*11:西尾勝行政学』(有斐閣,1993年)150頁

行政学

行政学