大阪府人事委員会は13日、部長級、次長級の幹部職員について、年1度の定期昇給を廃止して年齢に関係なく基本給を定額とした上で、勤務成績に応じてボーナスなどで差を付ける「出来高制」などを2011年度から導入するよう、橋下徹知事に勧告した。
 課長級以下の職員を含め、役職ごとの基本給を定めた「給料表」を現行の10段階から8段階に簡素化し、実際の役職より1ランク上の給与を支払う「わたり」を全廃することも盛り込んだ。勧告は、年功序列から能力重視への転換を掲げる橋下知事の考えに沿う内容。現行の給料表で、月57万5300〜51万9900円となっている部長級(45人)の基本給を56万9000円に、月54万2600〜47万4600円の次長級(134人)の基本給を51万500円にそれぞれ固定。一方で、成績に応じてボーナスや管理職手当を増減させ、年齢・役職が同じであっても年収ベースで最大60万円超の差を付ける。
 定昇が残る課長級以下の職員についても、成績評価の要素が強まるため、在職期間が長いベテランを中心に、職員全体の約3割の基本給が下がると想定されるという。橋下知事は13日、府庁で報道陣に、「職員組合は反発するだろうが、中立的な機関の意見で、基本的に尊重しなければならない」と述べた。

本記事では,大阪府の人事委員会において,独自給料表の導入等に関して,同府知事へ報告されたことを紹介.同報告に関しては,同府HPを参照*1.「一般行政職給料表」に関しては,「給料表の構造」が「主として同じ」*2であった同府において,独自給料表の導入.
同報告では,「職務・職責をより重視すべき」として「非管理職と同様の昇給を前提とした号給構成とする必要は必ずしもない」との認識に基づき,「管理職の給料を定額」化が提案されており,具体的には,「本庁部長及び本庁次長」に関しては「現在の在職実態に基づく平均的な年収を考慮」したうえで,「それぞれの管理職手当を条例上の上限である25%に設定」し,「逆算する形で定額となる給料月額」を確定される方針.「他の部長級及び次長級」に関しては,「これと同額の給料」とすることを前提としつつ,「管理職手当額の算定基礎となる支給割合を現状よりも低い区分を用いる」方針が意見されている.ただし,「課長級」に関しては「年齢幅が比較的広く,ラインとスタッフとの違い等により職務・職責に多様性が見られる」*3現状を踏まえて,「早急に定額化することを求め」*4つつも,「任命権者は,年数を基準とした一律的な昇格を廃止」し「現行の7級(新5級)及び8級(新6級)を用いる」*5ともあり,「定額化」の意見は示されてはない.
2010年12月6日付の本備忘録にて取り上げた広島県における管理職のいわゆる「年俸制」の取組では「3段階に固定」される方針ではあるものの,同府では,課長職を除く各職毎に「定額化」され,「管理職手当」等において「給与のメリハリを付ける」*6方針の模様.2府県で採用方針として示された管理職給料の「固定化・定額化」の方針,何れかに「準拠・均衡」*7される給料よりも,職の業績,個単位単位への給料へと移行されつつ様相も窺うことができるのだろうか.要経過観察.

*1:大阪府HP(報道発表資料「独自給料表の導入等に関する報告及び勧告」について(提供日2010年12月13日)独自給料表の導入等に関する報告及び勧告)「独自給料表の導入等に関する報告及び勧告」(大阪府人事委員会,平成22年12月)

*2:総務省HP(組織案内研究会等地方公務員の給料表等に関する専門家会合地方公務員の給料表等に関する専門家会合 とりまとめ(平成22年2月))「資料3都道府県・指定都市における一般行政職給料表の構造・水準」3頁

*3:前掲注1・大阪府(独自給料表の導入等に関する報告及び勧告)12頁

*4:前掲注1・大阪府(独自給料表の導入等に関する報告及び勧告)13頁

*5:前掲注1・大阪府(独自給料表の導入等に関する報告及び勧告)12頁

*6:前掲注1・大阪府(独自給料表の導入等に関する報告及び勧告)12頁

*7:西村美香『日本の公務員給与政策』(東京大学出版会,1999年)2〜3頁