県は18日、東日本大震災の復興計画の推進を担う「復興局」を4月下旬をめどに設置することを明らかにした。30〜40人の職員を配置。全庁的な組織も現在の災害対策本部を柱とした体制から「復興本部体制」に移行する。
 復興局は上野善晴副知事を局長に部長級職員を副局長に据え▽企画▽まちづくり再生▽産業再生▽生活再建▽総務−の5課を設置。当面は内部の要綱で定め職員は派遣の形をとるが、県議会6月定例会で正式に局の設置条例を制定することも視野に入れている。復興局は各部局の統括と企画立案機能として部局横断的な分野を担当。県東日本大震災津波復興委員会を運営するほか、防災・産業・コミュニティーを踏まえたまちづくり、水産業を中心とした産業再生、被災者の生活再建の業務を担当する。復興本部体制は知事を本部長に、現在応急対策を担っている災害対策本部を縮小し全庁的な組織として整備。復興局と各部局、「現地災害対策・復興本部」となる広域振興局などで構成する。また、復興委の下に、技術的な提言を行う県津波防災技術専門委員会を設置。復興計画に反映させる津波対策や防災型の都市・地域づくりについて専門家から提言を受ける。
 達増知事は同日の記者会見で復興局設置について「本庁における企画、調整などをスピーディーかつ強力に推進するために設置する」と狙いを語った。

本記事では,岩手県における機構改革の取組を紹介.
北海道東北地方知事会では2011年4月11日時点で,国に対して,「「東北復興院(仮称) 」のような一元的かつ総合的な機関を設置して.早急に中長期の復旧・復興ビジョンを提示し.既存制度の枠組みを超える強力な復旧・復興対策を実施するとともに,これに係る特別な財政の枠組を構築し,国を挙げて全力で復興に向けて取り組むこと」*1を要請されていたなかで,同県としては,同県内の復興に向けた「専担組織」を,いわゆる,条例部(局)として「復興局」を設置される方針.同方針に関しては,同県HPを参照*2
同記事を拝読させて頂くと,同局では「県における復興計画推進の司令塔」として位置づけられて,「各部局の統括とプランニング機能を付与」,加えて「特に横断的又は既存の枠組みを超えた対応が必要となる分野」とされる「①まちづくり:防災、産業、コミュニティなど,さまざまな視点を踏まえた新しいまちづくり」,「②産業再生:産業の柱である水産業を中心とした沿岸地域における産業の復興」,「③生活再建:被災された方の生活再建に向けた支援」を「専担で所管」されることとされている.「組織規模」は局長を副知事が務め,二人の副局長のもとで,「企画課」「まちづくり再生課」「産業再生課」と「生活再建課」「総務課」の5課,「30〜40名程度」*3の構成を想定されている.同局の設置により,「縦割の組織編成が内在する問題を打開」され「組織の垣根を低くし,あるいは境界を撤去する」「ボーダレス化」とともに「庁内の特定の所属が集中的に執行・管理」される「集中方式」*4的な組織運用が想定されている模様.とはいえ,
もちろん,「専担組織」を設置すれども(又は,設置することにより),「同一の物的空間に対して」の「詳細空間計画と鳥瞰空間計画との重複」,「重複する物的空間に対する,総合空間計画と部門空間計画の整合性のの問題」,「重複しないが接近する物的空間に関する,空間計画との整合性」という「部局間の調整問題」*5も想起されなくもない.同局設置後の「調整問題」への対処もまた,要経過観察.

*1:首相官邸HP(内閣官房東日本大震災復興構想会議)「東日本大震災に係る要望書」(平成23年4月11日,北海道東北地方知事会)6〜17頁

*2:岩手県HP(記者発表資料復興に向けた専担組織(「復興局」)を設置します。2011年04月18日)「復興に向けた専担組織(「復興局」)の設置について」(平成23年4月18日 総務部人事課)

*3:前掲注2・岩手県(復興に向けた専担組織(「復興局」)を設置します)」(2011年04月18日)

*4:石原俊彦・山之内稔『地方自治体組織論』(関西学院大学出版会,2011年)19頁

地方自治体組織論

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*5:金井利之「空間管理」森田朗編著『行政学の基礎』(岩波書店,1998年)170頁

行政学の基礎

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