宇都宮市は夏の電力不足に対応するため、職員の始業時間を早める、いわゆる「サマータイム」の実施に向け動き出した。佐藤栄一市長が27日の定例会見で明らかにした。県内自治体では初めての取り組みとなる。
 佐藤市長は「電力不足は今年1年限りの話ではない。供給量が回復するまでには相当の時間を要する。市民生活や企業活動にも大きな影響が出る」と指摘。その上で「行政は節電に率先して対応すべきだ」としてサマータイムの実施に向けた検討を市人事課などに指示した。
 同課によると、市職員の勤務時間は原則として午前8時半から午後5時15分まで。始業時間と終業時間を早め、電力使用のピーク時から業務時間をずらすことで節電につながる、として具体的な検討作業を進めている。どれだけ前倒しすれば節電に効果が出るか、また市役所本庁だけにとどめるのか出先機関まで対象に含めるか、実施期間をいつにするか−などを詰め、5月末をめどに結論を出したい、としている。具体的には30分〜1時間程度の前倒しが見込まれている。
 また従来、省エネと執務の効率化のために6月から9月までの期間、実施してきた服装の軽装化「クールビズ」について5月から10月まで拡大することも決定した。

本記事では,宇都宮市におけるサマータイム導入の取組を紹介.昨晩参加した研究会後に,同取組のお話を伺い,本日,同紙を拝読.
2011年4月27日付の毎日新聞では,国としては「時計の針を動かすこと自体にも相当なコスト」があるとして「個別の企業や業種で影響の少ないやり方を判断いただく方が現実的で効果的」との見解が示され,一方で,「東京,埼玉,千葉,神奈川の1都3県知事の連名」により「サマータイム導入などを求める緊急要望書」*1を提出されたとの議論の様子が報道がなされるなか,同市では,論より証拠,と同庁舎におけるサマータイム導入の検討を選択された模様.なるほど,興味深い.
同取組の詳細に関しては,現在のところ,同市HP上の文書では公表されてはおらず,同市長による「定例記者会見」の配信された映像を通じて,窺うことができる.同映像を拝見させて頂くと「執務効率化の観点から」「検討を指示」*2された段階にあり,対象,実施期間を含めた具体的な導入に関しては,本記事でも紹介されているように,その検討結果次第となる模様.
節電対策としての執務時間の管理としては,「職場組織の形成原理」としての「大部屋主義」*3を前提としつつ,電力使用量が多い職場で,個々の職員の方々の勤務時間を,個々の職場で「整え」*4ることを許容し,職場毎に相互に調整される方式も想定できれば,方や,役所「一家」主義に基づいて,役所全体で,その勤務時間を整える方式も想定されそう.ただ,大幅な節電効果とすれば,後者の方式の選択がより効用が高そうか.まずは,塊より始められようとされる,同市の同取組の検討結果に関しては,要確認.

*1:毎日新聞(2011年4月27日付)「東日本大震災:枝野官房長官、サマータイム導入に慎重姿勢

*2:宇都宮市HP(広報広聴市長定例記者会見)「4月定例記者会見(動画)

*3:大森彌『官のシステム』(東京大学出版会,2006年)60頁

官のシステム (行政学叢書)

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*4:真渕勝『官僚』(東京大学出版会,2010年)91頁

官僚 (社会科学の理論とモデル)

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