県内唯一の公文書館「天草アーカイブズ」(金子久美子館長)を持つ天草市は、津波で水損した岩手県釜石市の公文書を修復するため、職員2人を8日から現地に派遣する。釜石市で復元作業中の国文学研究資料館(東京都)が、復元実績のあるアーカイブズに応援を求めた。
 アーカイブズによると、釜石市では津波で庁舎が浸水し、今も地下から水が引いていない。地下室には、永久保存文書も含めて多数の行政文書が保管されていた。天草市では2006年7月、旧河浦町庁舎が床上浸水し、保管文書2千箱のうち1700箱を水損。市は文書を体育館に並べて扇風機で乾燥させるなどの方法で、3年がかりで1500箱分を復元した。その際、国文学研究資料館から指導を受けた。
 釜石市に派遣されるのは、当時担当だった本多康二さん(51)=市立本渡歴史民俗資料館管理係長=と、現アーカイブズ管理係長の明瀬純一さん(55)。本多さんは「公文書を失うのは、地域の歩んできた歴史をなくすようなもの。復元を任せてほしい」。明瀬さんは「天草のノウハウが役に立てばうれしい」と話している。4日に業務用扇風機10台と大型乾燥機2台、ティッシュペーパーなどの資材を発送。9日から13日まで現地で作業する。(橋野貴寛)

本記事では,天草市から釜石市への職員派遣の取組を紹介.
「歴史資料として重要な市の文書,刊行物,地域史料その他の記録」を「収集し,保存し,広く利用に供することにより情報資源としての活用を図り,もって地域文化の創造及び開かれた市政の運営に寄与」*1することを目的とされた,同市のアーカイブスに職員の方が派遣され,国文学研究資料館の職員の方とともに,釜石市の庁舎に水損した保管文書の復元作業に取り組まれるとのこと.
「行政活動を連綿と続くゴーイング・コンサーンとしてとらえる」*2とすれば,自治体行政の持続性を支えるものは,やはりその一つ一つ活動に関して蓄積された「情報を化体した文書の管理が適切に行われていること」*3も肝要.天草市から釜石市までと派遣により職員の皆さんがご尽力される様子は,要観察.

*1:天草市HP(天草市例規集)「天草市立天草アーカイブズ条例」平成18年3月27日,条例第8号)第1条

*2:西尾隆「行政手続」森田朗編『行政学の基礎』(岩波書店,1998年)181頁

行政学の基礎

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*3:宇賀克也『行政法概説Ⅰ第4版』(有斐閣,2011年)168頁

行政法概説1 行政法総論 第4版

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