草津温泉、源泉保護へ全国でも例のない条例案…町長「ハードルを上げて源泉を守りたい」(読売新聞2022年3月8日)

  群馬県草津町は7日、温泉利用を目的に地下を掘削する際、事前申請を町に求める内容の条例案を町議会に提案した。温泉法は、掘削などは都道府県の許可が必要だと定めているが、町も計画を審査して乱開発による源泉の枯渇を抑えるのが狙い。町によると、この種の条例は全国でも例がないという。条例案は15日に町議会で可決される見通しで、町は4月1日の施行を予定する。

 名称は「温泉資源の保護等に関する条例」。条例案では、草津温泉の湧出量や温度、成分に影響を及ぼさない場合などに限り掘削を許可するが、これらに影響が出た場合などは工事の中止や原状回復を命じる。申請の可否は、町が設置した審議会の意見を聞いて判断する。町は申請者に対し、湧出量などに影響を及ぼさないことを裏付ける資料の提出を求めることができ、工事停止などの場合は氏名などを公表できる。罰則規定はない。

 草津温泉は湯畑をはじめ主要な六つの源泉などから毎分3万2300リットル以上の湯が湧き出て、湧出量は全国一。観光地としての評価にもつながり、旅行業者が選ぶ「にっぽんの温泉100選」(観光経済新聞社主催)では2003年から連続で1位となってきた。

 しかし関係者によると、最近になって、町内で例のなかった掘削計画に関して県に相談する動きがあり、町は源泉の枯渇や湯量の減少につながりかねないとして、条例制定を決めた。

 温泉は現在、町温泉使用条例に基づいて町内に給湯され、旅館などが引用を申請した場合、議会の議決の対象となり、町は温泉分担金の支払いを求める。旅館など約250軒に供給され、収入は約4億円に上る。

 町は隣接する嬬恋村で1980年代に持ち上がった地熱発電所の建設計画に反対した経緯がある。黒岩信忠町長は「自然湧出量は繊細な構造で保たれ、掘削などが行われれば影響を否定できない。最終的には県の判断になるが、町独自にハードルを上げて源泉を守りたい」と話している。

 温泉の掘削は、県自然環境保全審議会の温泉部会が申請書や掘削予定地の市町村長の意見書などを基に審査し、県が可否を決める。温泉を掘り当てた後に動力ポンプを設置する場合も、掘削とは別の許可が必要となる。県薬務課は「条例案の中身を確認したい。審議会の協力もいただきながら、引き続き掘削などの許可を適切に判断していきたい」としている。

本記事では、草津町における温泉資源保護の取組を紹介。

「温泉資源にも恵まれた観光保養地」*1である同町。「草津町温泉使用条例」に基づき同「町が所有し」又は管理する温泉」を「保護し、その濫用を防止し、もつてその利用の適正化」目的から「温泉引用許可」*2を整備。本記事によると、「温泉利用を目的に地下を掘削する際、事前申請を町に求める」条例案を同町議会に提出された模様。

「規律」*3の整備となる条例案。同議会での審議後に要確認。