県は21日、2012年度予算要求の基本方針を全部局に通知し、予算編成に着手した。東日本大震災円高の影響で税収減が見込まれる一方、公債費や社会保障費が大幅に増加するとして、震災関連事業を除き、予算要求限度額(シーリング)を11年度当初予算に比べ一般行政費で平均3%、公共事業費も10%削減した。義務的経費を除く全事業対象のマイナスシーリングは03年度予算から10年連続。「節約も限界」(財政課)に近づき、事務事業の抜本的な見直しが迫られている。
県の12年度財政収支見通しによると、県税収入は震災の影響で当初見込みを100億円前後下回りそうな11年度と同水準と想定。借金返済の公債費と年金・介護などの社会保障費は前年度当初比で各55億〜56億円増える見通しで、財源不足は11年度当初に想定した約160億円を上回る懸念が生じている。
歳入確保が厳しさを増す中、県総合計画2年目の重要政策に充てる「生活大県いばらき特別枠」として20億円(11年度30億円)を設けた。マイナスシーリングはこの財源を捻出するための設定で、公共事業費は歳出ベースで10%減、一般行政費と公共事業以外の投資的経費は一般財源ベースで1%、3%、10%減と事業に応じ区分した。旅費などの経常的経費は10%減(11年度20%減)に緩和するなど、シーリングの限界も垣間見えた。震災関連は原則、国で財政措置されるため要求に上限を設けなかった。国から140億円の配分が決まった復興基金も12年度の有効な財源になる。ただ、財政課は「国の財政措置だけで全部足りるかどうか心配」と楽観していない。施策の選択と集中を促す狙いで、廃止する事業費相当額を新規事業の要求枠に振り向ける「再構築枠」も引き続き設定した。10年連続マイナスシーリングについて、県幹部は「厳しい設定はもう限界との声は震災前あったが、状況は一変。やらざるを得なかった」と語った。

本記事では,茨城県における「度予算要求の基本方針」の提示について紹介.同方針に関しては,現在のところ,同県HPでは把握できず,残念*1
しばしば‘cheeseslicing approaches'*2とも称されることもあるマイナスシーリング.本記事を拝読させて頂くと,「義務的経費を除く全事業対象のマイナスシーリングは03年度予算から10年連続」となるとのこと.方や「特別枠を設定し,シーリングの外で資源の再配分」*3は実施され,特別枠の「財源を捻出するための設定」される模様.減らしつつ充てるという両者の間で,どのように予算という名の限られた「チーズ」を「スライス」されるのか,要経過観察.

*1:茨城県HP(行財政改革)「予算関係資料

*2:Pollitt,C.and Bouckaert,G.(2011) Public Management Reform: A Comparative Analysis New Public Management, Governance, and the Neo-weberian State,Oxford UP:27.

Public Management Reform: A Comparative Analysis New Public Management, Governance, and the Neo-weberian State

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*3:田中秀明『財政規律と予算制度改革』(日本評論社,2011年)331頁

財政規律と予算制度改革  なぜ日本は財政再建に失敗しているか

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