和歌山県印南町は東南海・南海地震などの大規模災害が発生した場合、職員が被災し行政機能が滞る恐れがあることから、元町職員に復旧・復興のための業務をボランティアで行ってもらう「災害時応援職員」として登録してもらう取り組みをしている。町が70歳以下の退職者に登録を求める依頼状を送ったところ、41人が承諾。町総務課は「即戦力になる方々。有事の際には助けていただきたい」と話している。
 東日本大震災では、職員の多くが犠牲になった自治体があり、印南町でも大規模災害が発生した際に人出が不足し、復旧・復興に大きな影響が出る恐れがあると想定。このため、豊富な行政経験を持つ退職者に支援を求めることにした。具体的には、行方不明者の捜索の受け付けや埋火葬許可証や罹災(りさい)証明書などの発行業務、断水地域への飲料水の給水、避難所運営といった活動に、ボランティアで携わってもらうことを想定している。
 町は10月7日付で、2010年度末までに退職した70歳以下の元職員57人に登録を呼び掛ける依頼状を送付したところ、締め切りとしていた10月末までに41人から承諾書の返信があった。承諾書では「大規模災害が発生し、町役場から応援要請があった場合、災害の支援活動等に参加し、応援することを承諾する」としている。
 町総務課の担当者は「退職された方がどのような仕事をされてきたかを把握しているので、即戦力になる。多くの職員が被災することも考えられ、対応しきれない業務に経験や知識、力をお借りしたい」と話している。町は今後も退職者に応援職員としての登録を呼び掛けていくという。

本記事では,印南町における「災害時応援職員」の取組を紹介.同取組の詳細は,同町HP内では確認できず,残念.
本記事を拝読させて頂き,整理しておくと,同町では,「大規模災害が発生した場合」に,「行方不明者の捜索の受け付け」「埋火葬許可証」罹災証明書等の「発行業務」や「断水地域への飲料水の給水」,「避難所運営」に「ボランティアで携わってもらう」ために,「70歳以下」の同町の「元町職員」「57人」へ「登録を呼び掛ける依頼状に対して,同町が「依頼状を送ったところ」,「41人が承諾」されている.勿論,依頼を受けた職員の方ご自身が,いわゆる「災害時要援護者」*1に該当される方が含まれる場合も想定されなくもないなかでは,極めて高い承諾状況.
本記事後段では,同町担当者によるコメントして「退職された方がどのような仕事をされてきたかを把握しているので,即戦力になる」との認識も紹介.なるほど,「非ルーティーンの問題」のなかでも,存外,「ルーティンの戦略」*2に連なる「ジェネラリストの養成」*3により習得された執務技能も活用される領分も少なからず存在するとも解せそう.何よりも,実際には同職員の皆さんへ応援要請が行われず,実際に支援活動が実施されないことが何より望ましいものの,一方で,災害時での応援要請に対応されるためには,今後の日常的な連携等も行われることにもだろうか,要確認.

*1:内閣府HP(災害応急対策災害時要援護者対策)「災害時要援護者の避難支援 ガイドライン」(災害時要援護者の避難対策に関する検討会,平成18年3月)2頁

*2:ドナルド・ケトル『なぜ政府は動けないのか: アメリカの失敗と次世代型政府の構想』(勁草書房,2011年)116頁

なぜ政府は動けないのか: アメリカの失敗と次世代型政府の構想

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*3:稲継裕昭『地方自治入門』(有斐閣,2011年)93頁

地方自治入門 (有斐閣コンパクト)

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