岐阜県は新年度、被災直後の県内市町村の災害対応を支援するため、防災業務に精通した県職員を災害マネジメント支援職員として派遣する県独自の制度を設ける。総務省も同様の制度を2018年度途中に運用する見通しで、国の動きを前倒しした全国でも珍しい取り組み。市町村長の災害対応を補佐し、早期復旧や県との連携を支援する。
 派遣するのは防災業務に長年勤務経験のある職員。県によると、派遣に備え6人が研修を受けた。管理職と係長級の2人体制での派遣を想定している。
 市町村への意向調査では、すべての県内自治体が県からの災害マネジメント職員の派遣を希望。被災直後は被災者の救出や避難所の設営、支援物資の輸送など緊急業務が集中するほか、被害が拡大すれば仮設住宅の確保や罹災(りさい)証明書の発行など幅広い業務が求められるため、専門知識や経験豊富な職員のニーズが高まっているという。
 県は年度内に県市長会や県町村会との災害協定を見直し、こうした制度の導入を新たに盛り込む方針。同時に、隣接する市町村間で災害支援する自治体の優先順位を定め、災害時の復旧体制を強化する。
 県担当者は「国の制度化を前倒しして職員派遣する仕組みを構築し、市町村の災害対応を積極的に支援したい」と話している。

本記事では、岐阜県における災害対応の取組方針を紹介。
同県では、2019年度予算案において、「被災市町村で災害対策の実施が困難となった場合」、「被災市町村以外の市町村職員や県職員を派遣する体制を既に構築済み」のなか「市町村の災害マネジメントを支援する職員を派遣する仕組みはない」ことを踏まえて、「災害マネジメント支援職員派遣制度構築事業費」として、同県「危機管理部」から「5,548千円」*1が要求。同事業費の具体的な内容は、「県職員に対する災害マネジメント研修の実施」、「「(仮称)災害マネジメント支援職員運用マニュアル」の作成」、「「(仮称)派遣職員受入ガイドライン」の作成」*2が想定されている。
「県負担・補助率」は「県独自の事業のため」「県」が「10/10」*3となる。2019年度は「20人」の「災害マネジメント支援職員の育成」*4を予定。「情報事前蓄積型人的支援体制」*5とも整理ができそうな同取組。制度の運用内容は、要観察。

*1:岐阜県HP(県政情報財政・予算・決算予算危機管理部(30要求))「災害マネジメント支援職員派遣制度構築事業費」

*2:前掲注1・岐阜県(災害マネジメント支援職員派遣制度構築事業費)1〜2頁

*3:前掲注1・岐阜県(災害マネジメント支援職員派遣制度構築事業費)2頁

*4:前掲注1・岐阜県(災害マネジメント支援職員派遣制度構築事業費)3頁

*5:稲継裕昭「広域災害時における遠隔自治体からの人的支援」小原隆治・稲継裕昭『震災後の自治体ガバナンス』(東洋経済新報社、2015年)、184頁。

大震災に学ぶ社会科学 第2巻 震災後の自治体ガバナンス

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