総務省は15日、東京電力福島第1原発事故の避難者が住民票を移さなくても避難先で受けられる行政サービスとして、11分野219事務を告示した。先の通常国会で成立した原発避難者特例法に基づく告示で、事務の中身は要介護認定や児童生徒の就学など。避難先の市町村がこれらを代行する。準備期間を経て、来年1月以降実際にサービスを提供する。

本記事では,総務省における「原発避難者特例法」に基づく,特例事務の告示の取組を紹介.同告示に関しては同省HPを参照*1
避難先で受けられるサービスは,大別されるとまずは「医療・福祉関係」が「8法律166事務」,そして,「教育関係」の「2法律53事務」の,計10法律219事務.前者では,「要介護認定等に関する事務(介護保険法)」,「介護予防等のための地域支援事業に関する事務(介護保険法)」,「養護老人ホーム等への入所措置に関する事務(老人福祉法)」,「保育所入所に関する事務(児童福祉法)」,「予防接種に関する事務(予防接種法)」,「児童扶養手当に関する事務(児童扶養手当法)」,「特別児童扶養手当等に関する事務(特別児童扶養手当等の支給に関する法律)」,「乳幼児、妊産婦等への健康診査、保健指導に関する事務(母子保健法)」,「障害者,障害児への介護給付費等の支給決定に関する事務(障害者自立支援法)」が該当する.後者は,「児童生徒の就学等に関する事務(学校教育法,学校保健安全法)」,「義務教育段階の就学援助に関する事務(学校教育法,学校保健安全法)」*2とされている.
今後は,「1か月半の準備期間の後」に,「原発避難者特例法に基づく指定」をされた「いわき市」「田村市」「南相馬市」「川俣町」「広野町」「楢葉町」「富岡町」「大熊町」「双葉町」「浪江町」「川内村」「葛尾村」「飯舘村*3の3市7町3村の「指定市町村」又は「福島県から避難先」の自治体へ「避難住民の方の避難場所等の通知を経」た後,「避難先」の自治体から「行政サービスが提供」*4されることになる.
「問題の方が制度に合わせくれない以上,制度を問題に合わせる」*5ことで,代行という特例制度の整備により実施される各事務.これらの事務とともに,これらの事業にも関連して,例えば,2011年11月10日付の朝日新聞にて報道されていたように,総額で「6.2兆円」分が提供されているという「国の補助を受けずに自治体が単独で実施している医療や介護,子育てなど社会保障関係の事業」*6に関しては*7,「避難先」の自治体で独自事業として事務が提供されている場合,その平準化等も図られることもあるのだろうか.具体的な実施状況も要確認.

*1:総務省HP(広報・報道報道資料一覧:2011年11月)「原発避難者特例法に基づく特例事務の告示

*2:前掲注1・総務省原発避難者特例法に基づく特例事務の告示)

*3:総務省HP(広報・報道報道資料一覧:2011年9月)「原発避難者特例法に基づく指定市町村の指定

*4:前掲注1・総務省原発避難者特例法に基づく特例事務の告示)

*5:ドナルド・ケトル『なぜ政府は動けないのか: アメリカの失敗と次世代型政府の構想』(勁草書房,2011年)39頁

なぜ政府は動けないのか: アメリカの失敗と次世代型政府の構想

なぜ政府は動けないのか: アメリカの失敗と次世代型政府の構想

*6:朝日新聞(2011年11月10日付)「地方の社会保障事業費6.2兆円 10年度、総務省集計

*7:総務省HP(広報・報道報道資料一覧:2011年11月)「社会保障関係の地方単独事業に関する調査結果