原発に装荷した燃料の価格に応じて電力事業者に課税する核燃料税について、税率を12%から全国最高の17%に引き上げ、運転停止中も一定額を課税するよう改める県条例が14日の県会本会議で、賛成多数により可決、成立した。総務相の同意を得て11月10日に施行される。
 東京電力福島第1原発事故を受け、定期検査で停止中の原発は再稼働の見通しが全く見えていない。このままの状態が続けば条例スタート時の11月には県内の商業炉13基のうち9基が止まる予定で、大半の原発が停止したまま課税される状況となる。今回の改正では、過去の改正時のアップ率や他県の水準とのバランスをとるために3%を引き上げ、福島第1原発事故を受けた安全対策費として2%分を上乗せする。
 プラントごとの出力に応じて課税する「出力割」を導入し、全国で初めて停止原発にも課税。17%のうち8・5%分が出力割となる。改定後の5年間で計画通り原発が稼働すれば約600億円の税収を見込み、仮に全原発が停止していても約300億円は確保される。出力割に関しては「原発があることに伴う安全や防災対策のために核燃料税がある。原発が動いていないから税収がゼロになるのはおかしい」(谷本正憲石川県知事)などと本県に追随して導入を検討する自治体がある一方、「福島の事故がありながら原発への依存度を強めるのか」といった批判もある。採決に先立つ反対討論で佐藤正雄議員(共産党)は「老朽化原発廃炉にせず、存続させることが前提になっている。核燃料税課税の対象として延命すべきではない。原発を減らすのは全国民的な願い」と指摘した。県の核燃料税収は、原発稼働率やウラン価格の低迷もあり、前回改定の2006年から5年間で予測より約80億円少ない約290億円にとどまる見通し。

本記事では,福井県における「福井県核燃料税条例」*1改正に関して紹介.「昭和五十一年十月」に「電源三法」に基づく交付金の「使途にも制限が多い」*2ことからも,当時の「地方課長」を中心とした「プロジェクトチーム」により「販売価格ではなく燃料価格に対して課税する発想」により「日本で初めて」「導入」された「核燃料税」*3.本記事を拝読させて頂くと,「停止中」の場合でも「出力割」により課税をされる内容.今後は,「総務相の同意」手続を経た後,「11月10日に施行」されることを予定とされている模様.
その「新設・変更」に際する「同意」に関しては,「効力要件」であるか,「手続要件」*4であるかは見解がやや分かれるところではあるものの,「同意を要する協議」手続が求められる法定外普通税.「平成21年度決算」で「22」*5件が設置.これらのうち「核燃料税」は「福井県福島県愛媛県佐賀県島根県静岡県,鹿児島県,宮城県新潟県,北海道,石川県」の11道県にて課税.
方や,「税制を通じて住民自治を確立」し「地域の自主性・自立性を高める」ことを目的に「現行の地方税制度を「自主的な判断」と「執行の責任」を拡大する観点から」「抜本的に改革する上での諸課題について検討」*6することを企図し,2011年6月に総務省では「地域の自主性・自立性を高める地方税制度研究会」*7を設置.同研究会でも「法定外税の新設・変更への関与の見直」という検討項目にて,「国が関与を行う意義の整理(国の経済政策との関係の整理)」「現行の同意要件の見直し」「国の関与の手続きの見直し」*8という論点も審議される模様.同論点内のひとつである「現行の同意要件の見直し」次第では,今後の同税の制定・改正に伴う,自治体間での「政策移転」*9の動態にも変化が見られることになるのだろうか,要観察.

*1:福井県HP(県政情報・電子手続き情報公開・条例・法規)「福井県核燃料税条例」(平成八年十月十四日福井県条例第三十七号)

*2:中川平太夫顕彰会『中川平太夫博』(1989年)341頁(amazonには掲載されていない模様)

*3:来馬克美『君は原子力を考えたことがあるか』(ナショナルピーアール,2010年)211頁(2010年12月25日付の本備忘録にて福井県にて購入したことを記録した同書,こちらも,amazonには掲載されていない模様.)

*4:宇賀克也『地方自治法概説第4版』(有斐閣,2011年)136頁

地方自治法概説 第4版

地方自治法概説 第4版

*5:総務省HP(組織案内研究会等地域の自主性・自立性を高める地方税制度研究会)「資料2−3参考資料」(総務省自治税務局,平成23年6月29日)11頁

*6:総務省HP(組織案内研究会等地域の自主性・自立性を高める地方税制度研究会)「資料1−1参地域の自主性・自立性を高める地方税制度研究会 開催要綱」1頁

*7:総務省HP(組織案内研究会等)「地域の自主性・自立性を高める地方税制度研究会

*8:総務省HP(組織案内研究会等地域の自主性・自立性を高める地方税制度研究会)「資料2−2具体的な検討項目と主な論点」1頁

*9:秋吉貴雄,伊藤修一郎,北山俊哉『公共政策学の基礎』(有斐閣,2010年),254頁

公共政策学の基礎 (有斐閣ブックス)

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