路上喫煙の防止へ、川崎市が11月から、対策の強化に乗り出している。市路上喫煙防止条例の施行後、路上喫煙者は大幅に減ったが、ルール無視の不心得者が少なからず存在するためだ。これまで適用例のない過料徴収に本腰を入れるとともに、街頭を巡回する路上喫煙防止指導員の制服も導入し、安全なまちを目指す。
 平日午後の川崎駅東口周辺。そろいの制服に身を包んだ8人の指導員が、歩道の隅々まで目を光らせながら、繁華街を巡回した。前方には紫煙をくゆらせながら歩くサラリーマン風の男性の姿が。駆け寄った指導員に火を消すよう求められると、男性は素直に従い、差し出された携帯灰皿に吸い殻を収めた。特にマナー違反が目立つのが、客待ち中のタクシー運転手。指導員は車外で一服する運転手を見つけては注意を促し、会社名やナンバーもメモしていった。この日は注意を受けた全ての人が素直に喫煙をやめたが、中には喫煙をやめない人もいるという。元警察官で勤続3年8カ月の指導員(68)は「『うるせー』『関係ねーだろ』と罵声を浴びせられることもある。吸っていたたばこを投げつけられた指導員もいますよ」と話した。
 過料徴収の強化は、こうした悪質違反者への対策が目的。条例施行から5年以上が経過したことで、市地域安全推進課は「周知に一定のめどが付いた。さらに一歩踏み込んで、リスタートしたい」とする。徴収実施に向けて、市は指導員に徴収に必要な書類の携行を徹底させた。紛失防止のため指導員が自宅に書類を持ち帰ることは禁じられており、指導員に早出を促すことで対応しているという。さらに、2人一組が基本だった指導員の巡回態勢も、トラブル防止のため3人以上の態勢に改めた。また、指導員用の制服も初めて導入。従来はオレンジ色のベストを着用するのみだったが、啓発効果を高めることを狙った。夏服・冬服ともデザインは横浜市の制服と統一。「県内のどの町に行っても、この服を見たら指導員とすぐに分かってもらうことが重要」と同課は説明した。
 制服の効果は絶大のようで、「文句を言う人が減った。われわれの姿を見ただけで、路地に隠れる人や火を消す人が増えた」と指導員。「地道にこつこつと注意・指導を繰り返し、路上喫煙ゼロを目指していきたい」と話した。
 ◆川崎市路上喫煙防止条例 2006年4月に施行。現在は、市内の主要駅周辺6カ所に重点区域を設け、指定喫煙所以外での喫煙を禁止している。違反者からは2千円の過料も徴収できるよう定めている。市の調査では、全通行人のうち路上喫煙者の占める割合は、06年4月が1・77%。11年4月には0・16%に減少した。

本記事では,川崎市における「川崎市路上喫煙の防止に関する条例」の実施状況を紹介.2011年7月5日付の本備忘録にて「過料徴収」の「本腰」化の方針を記録した同条例の実施状況を報道.具体的な取組は,同市HPを参照*1
同資料を拝読させて頂くと,上記本備忘録でも記録したように過料処分が未適用であったことを踏まえて,「路上喫煙防止対策嘱託員の注意に従わない悪質な路上喫煙者等に対して過料(2,000 円)を適用するなど対応」の「強化」を図ること,そして,「広報・啓発活動に有効な路上喫煙防止対策嘱託員の制服を新たに導入」されたことが,同「対策の取組み強化」の内容.また,本記事からは,同市の「2人一組が基本だった指導員の巡回態勢」を,主に「トラブル防止」の観点から,「3人以上の態勢」への巡回体制の配置を改められた,とある.
これらのうち,本記事を拝読させて頂くと,後者の「制服の効果は絶大」とも報道.そして,同制服は「夏服・冬服ともデザインは横浜市の制服と統一」された,という.なるほど,事実上の「自治体間の横の連携」*2が図られたことで,市域を超えた「人海戦術*3が実施されているとの認識も与えるのだろうか.興味深い.

*1:川崎市HP(報道発表資料路上喫煙防止対策の取組み強化について)「路上喫煙防止対策の取組み強化について」(平成23年10月18日 報道発表資料)

*2:田口一博「自治体間の横の連携」森田朗・田口一博・金井利之『分権改革の動態』(東京大学出版会,2008年)154-155頁

分権改革の動態 (政治空間の変容と政策革新)

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*3:北村喜宣『行政法の実効性確保』(有斐閣,2008年),33頁

行政法の実効性確保 (上智大学法学叢書)

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