東京都は6日、東日本大震災の被害を受けた岩手、宮城、福島3県の被災市町村を支援するため、即戦力の公務員OBらを任期付き職員として採用し長期派遣すると発表した。任期付き制度を活用した被災地への職員派遣は全国初という。募集、選考、研修を経て9月にも送り出す予定。
 津波被害を受けた沿岸市町村では、集団移転など復興事業の本格化に伴い、まちづくりに関する技術系職員の不足が特に深刻となっている。都は今月下旬に募集を開始。公務員OBだけでなく、民間からも広く人材を募り、年齢制限は設けない。任期は最長5年で、派遣人数、派遣先は3県と調整して決める。

本記事では,東京都における任期付職員制度による被災地への職員派遣の取組を紹介.同取組に関しては,同都HPを参照*1
津波被害を受けた沿岸部市町村を中心」とした被災地では,「インフラの復旧やまちづくりを担う技術系職員の大幅な不足が深刻な課題」にあるなかで,同都では,これまで「被災した福島県宮城県岩手県の3県に現地事務所を設置」し,「延べ3万人を超える職員を派遣するなどの人的支援」を実施.例えば,2011年11月13日付の本備忘録でも記録したように,2012年4月入庁採用予定者を「前倒し」で採用され,被災地支援も実施してきている.今回の同取組では,「即戦力のスキル・経験を有する人材」を「行政経験者や民間経験者を「任期付職員」として採用」し,「地方自治法に基づき被災自治体に派遣」*2するもの.まさに「政策志向の連携」から「制度指向の連携」*3への移行とも整理ができそうな,興味深い取組.
選考に際しては,「年齢要件」はなく,「選考合格者」は「最長で5年間」の任期で,「主任級職として採用」される.ただし,「一定の基準を満たす方」は「係長級職又は課長補佐級職で採用する場合」もある,という.「給与」は「行政や民間企業での職務経験等を考慮して決定」され,具体的な給与の参考例としては,「主任級」での採用であれば「約600万円」,「係長級」であれば「約700万円」,「課長補佐級」は「約800万円」と例示されている.ただ,上記の通り,「地方自治法に基づ」く派遣の場合,同法第252条の17により派遣を受けた側の負担になるとも解せる,これらの負担を「深く分かち合う」*4ための対応も図られるのだろうか.
「今後のスケジュール」は4月中旬に「要綱発表」,4月下旬に「募集開始」,6月から「選考実施」,9月に「採用」となる.その後,「行政経験者,民間経験者とも一定期間研修を実施したのち,被災市町村に派遣」が予定.今後の応募状況は,要確認.

*1:東京都HP(これまでの報道発表2012年4月)「「任期付職員制度」を活用した被災地への職員派遣について

*2:前傾注1・東京都(「任期付職員制度」を活用した被災地への職員派遣について)

*3:牧原出「東日本大震災後の地域間連携」『ガバナンス』No.130,2012年2月号,16頁

ガバナンス 2012年2月号

ガバナンス 2012年2月号

*4:金井利之「自治制度(行政体制)の10年」『ガバナンス』No.120,2011年4月,34頁

ガバナンス 2011年 04月号 [雑誌]

ガバナンス 2011年 04月号 [雑誌]