京都市の新景観政策に伴う屋外広告物の規制強化に向け、門川大作市長は17日の市議会本会議の一般質問で、市内全域で初の「ローラー作戦」を展開して本格的に乗り出す方針を示した。是正までに猶予を与える経過措置が2014年8月に終わるためで、門川市長は「悪質なケースには警告や行政代執行も辞さない」と述べ、違反状態の解消に強い姿勢を打ち出した。
 市は美しい都市景観の形成を目指し、07年9月に改正施行した屋外広告物等に関する条例で、建築物の屋上広告物と点滅式、可動式照明を用いた屋外広告物を全面禁止した。さらに市内を21地域に分けて看板の高さや大きさ、色彩などの基準をきめ細かく定めた。旧条例に基づき設置した広告物の是正には7年間の経過措置を認め、市はこの間、広告物が多い中心部の繁華街やチェーン店などに対し重点的に是正指導を続けてきた。
 ただ、設置者には新たな看板の費用負担や設置許可の手続きが求められるため、違反解消には半年以上要するケースもある。市は市内の屋外広告物約4万カ所のうち約7割、約2万8千カ所が基準に反していると見ており、経過措置終了を2年後に控え「本腰」を入れることにした。4月には広告物指導対策の担当部長や課長のポストを新設しており、さらに嘱託職員を増やすなどして早ければ秋にも市内全域を巡回指導する。指導に従わない場合には、改善命令や市による強制撤去も行う。また事業者向けの相談体制も強化し、地域ごとの規制内容や優れたデザイン看板の設置費を支援する助成制度の周知も図る。門川市長は「京都の都市格を向上させ、日本に京都があって良かった、と実感してもらえるよう全力で取り組む」と決意を述べた。

本記事では,京都市における屋外広告物規制の実施方針を紹介.
同市では,「京都市屋外広告物等に関する条例」*1に基づき,「優良な屋外広告物の誘導」し「違反広告物対策の強化」*2するという,「規制誘導」*3の双方の制度を整備.後者に関しては,本記事を拝読させて頂くと「屋外広告物約4万カ所のうち約7割,約2万8千カ所が基準に反し」ている現状にあるとも報道.
なるほど,その実際は「違反行為に対して強制力をもって規制することができない」*4現状も観察できそう.そのようななかで,同市で実施される「ローラー作戦」(何とも力強い名称ですね).その作成の効果も,「人海戦術*5に掛る部分も大きそう.今後の実施体制は,要確認.

*1:京都市HP(市の組織都市計画局各課の窓口市街地景観課景観関連条例・基準集屋外広告物関係)「京都市屋外広告物等に関する条例

*2:京都市HP(市の組織都市計画局各課の窓口市街地景観課景観関連条例・基準集屋外広告物関係)「京みやこの景観ガイドライン ■広告物編」(京都市都市計画局)1‐1頁

*3:伊藤雅春,小林郁雄,澤田雅浩,野澤千絵,真野洋介,山本俊哉『都市計画とまちづくりがわかる本』(彰国社,2011年)199頁

都市計画とまちづくりがわかる本

都市計画とまちづくりがわかる本

*4:田丸大「景観政策 ―景観法は都市計画制度を変えたのか―」森田朗・金井利之編著『政策変容と制度設計―政界・省庁再編前後の行政―』(ミネルヴァ書房,2012年)210頁

*5:北村喜宣『行政法の実効性確保』(有斐閣,2008年),33頁

行政法の実効性確保 (上智大学法学叢書)

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