岡山県環境アセスメントの対象となる開発行為の要件の緩和を検討していることが分かった。現行は工業団地造成の場合、10ヘクタール以上が対象で広島県などに比べて厳しい。自治体の要望を受け県は大規模太陽光発電所(メガソーラー)を除外したり、面積要件を隣県並みにしたりする方向で本年度内の条例施行規則改定を目指す。
 環境アセスメントは大規模開発をしようとする事業者に、環境への影響を事前に調査して結果を公表し、必要な対策をとることを義務付ける制度。環境影響評価法を踏まえて各県は条例を定めるが、対象要件は異なる。工業団地造成の場合、中国地方では岡山は10ヘクタール以上、広島、島根は50ヘクタール以上、鳥取は75ヘクタール以上、山口は100ヘクタール以上が原則。岡山は1978年に都道府県で2番目に導入した。水島コンビナート重油流出事故などを受けた県民の環境保護意識の高まりを背景に厳しい要件とした。要件緩和を求める瀬戸内市は、錦海塩田跡地(約500ヘクタール)の活用策にメガソーラーを検討する。武久顕也市長は「メガソーラーは環境に大きな負荷を与えない。除外も考えてほしい」と訴える。ただ安易な要件緩和には自然保護団体などの反発も予想される。岡山大大学院社会文化科学研究科の高橋正徳准教授(行政法、環境法)は「環境アセスを充実させる方向が世界的な流れ。要件を緩和するのであれば合理的な理由を県民に示す必要がある」としている。

本記事では,岡山県における環境アセスメント条例の改正に向けた検討状況を紹介.同条例に関しては,同県HPを参照*1
同条例では14事業を対象*2に置き,例えば,工業団地造成であれば「改変面積10ha以上」とし,第1種事業の面積100ha以上,第2種事業の面積75〜100ha以上とする「環境影響評価法」よりも,厳格な基準を置いている.
同制度は,「事業者の自主的配慮」*3を前提とすることからも,事業者側は「手続きを経ればよい」と「形だけのアセスメントを行う」傾向性も観察され,しばしば「アワセメント」*4とも称されることもなくはない.本記事を拝読させて頂くと,同県の同基準を「隣県並み」へと改訂も検討されている模様.「隣県並み」へと「横並び競争」*5に至り,規制のハーモナイゼーションの如く,基準の「アワセメント」に至る傾向性も観察されるのだろうか.
同基準の改訂に際しての調整プロセスが「ルーティン型」*6か非ルーティン型の何れが用いられるかは,現在のところ判然とはしないものの,同県の検討状況は,要経過観察.

*1:岡山県HP(分野で探すくらし・環境・観光環境・自然・動物環境保全環境影響評価(環境アセスメント)制度の運用)「岡山県環境影響評価等に関する条例」(平成11年3月19日,岡山県条例第7号)

*2:岡山県HP(分野で探すくらし・環境・観光環境・自然・動物環境保全環境影響評価(環境アセスメント)制度の運用)「条例の対象事業

*3:北村喜宣『環境法』(弘文堂,2011年)294頁

環境法

環境法

*4:原科幸彦『環境アセスメントとは何か』(岩波書店,2011年)4頁

*5:秋吉貴雄,伊藤修一郎,北山俊哉『公共政策学の基礎』(有斐閣,2010年),256頁

公共政策学の基礎 (有斐閣ブックス)

公共政策学の基礎 (有斐閣ブックス)

*6:久保はるか「地球環境政策 ―温暖化対策の変容と政界再編・省庁再編―」森田朗・金井利之編著『政策変容と制度設計―政界・省庁再編前後の行政―』(ミネルヴァ書房,2012年)161頁