【ニューヨーク時事】炭酸飲料のがぶ飲みをやめて−。ニューヨーク市は肥満対策として、飲食店や映画館などを対象に、炭酸飲料などソフトドリンクを大型の容器で販売するのを禁止する方針だ。米メディアが31日報じた。来年3月の実施を目指すが、全米で初めてとなる規制だけに、飲料業界などは反発している。
 米国ではファストフードの店舗を中心に、1リットル近いサイズでソフトドリンクを提供することが珍しくない。同市はこうした店舗で販売できるカップやボトルの容量を最大約470ミリリットルに制限。1回の購入で摂取するカロリーを抑えたい考えだ。スーパーやコンビニなどでの販売は対象外。果汁の多い飲料や、炭酸飲料でも低カロリータイプのものなどは除外する。違反した業者には、200ドル(約1万6000円)の罰金を科す方針。

本記事では,ニューヨーク市における砂糖を含む飲料販売の禁止の検討方針を紹介.
同市の報道資料を拝見させて頂くと,以前は「16オンス」では「3人分」として「十分」*1であったものの,現在では,同量はほぼお一人.また,いわゆる「ドリンクバー(fountain drink)」のカップのサイズもまた拡大化しており,「7オンス」であれば「82calories」で「22g」砂糖を含むものの,サイズ大きくなるにつれて当然,そのカロリーと砂糖も増量となる.例えば,「12オンス」では「140カロリー」で「38g」,そして,今回の対象となる「16オンス」では「180カロリー」で「49g」,「32オンス」では,「374カロリー」で「102g」,「64オンス」に至っては「780カロリー」で「217g」*2の砂糖が含まれている,という.加えて,このようなサイズが大きい飲料は,その費用とその容量を対比してみても,「お買い得(“Bargain”)」*3が強く,自ずと大きなサイズの飲料を購入するという誘因構造のもとにもある.
同市では,飲食店が扱う「砂糖入り飲料」*4の最大容量を16オンス*5とすることにする.違反したものには「$200」*6の罰金とされている.ただし,16オンスよりも多くの量を飲みたい場合,例えば更にもう一杯を購入することまでを規制するものではない*7,という.
「食品の販売規制」*8による肥満対策.本年度の本務校での学生さんとの共同研究のテーマ(食と健康(肥満)政策)でもあり,「では,日本(東京)では」と考えてみることも,制度設計のパズルとしては,面白そうな観察課題.今後の同市の動向は,要観察.

*1:New York CityHP(Department of Health and Mental Hygiene)〝MAYOR’S TASK FORCE ON OBESITY"(MAY 31, 2012)12頁

*2:前傾注1・New York City2012(MAYOR’S TASK FORCE ON OBESITY)15頁

*3:前傾注1・New York City2012(MAYOR’S TASK FORCE ON OBESITY)16頁

*4:一応,下記のような定義を置いているようですね.a carbonated or non‐carbonated beverage that is sweetened with sugar or another caloric sweetener and has ≥25 calories per 8 oz

*5:前傾注1・New York City2012(MAYOR’S TASK FORCE ON OBESITY)18頁

*6:前傾注1・New York City2012(MAYOR’S TASK FORCE ON OBESITY)18頁

*7:前傾注1・New York City2012(MAYOR’S TASK FORCE ON OBESITY)20頁

*8:古郡鞆子『肥満の経済学』(角川学芸出版,2010年)219頁

アカデミック・ライブラリー  肥満の経済学

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