県は、日本海を軸に世界地図の南北を逆さまにした「環日本海諸国図」(通称・逆さ地図)を初めて改訂した。一九九四年作製の従来版では一部だった台湾の全土を載せたほか、中国南部は香港、広州まで、中国西部は西安重慶までを表示した。北陸新幹線東海北陸自動車道などの整備状況も反映した。(相馬敬)
 改訂版の名称は「環日本海・東アジア諸国図」で、縮尺は四百五十万分の一、大きさはB1判。伏木富山港が日本海側拠点港に選定されたり、富山空港台北便が就航したりして「陸海空のインフラ整備が進んだ」(石井隆一知事)ことなどを踏まえ、近隣諸国との交流圏を取り入れることにした。北陸新幹線は二〇一四年度末の金沢開業をにらみ、地図上では一足早く金沢まで延伸した。ロシア、韓国などの主要港とシベリア鉄道も表記した。地図は県民会館(富山市新総曲輪)一階の県刊行物センターで販売中。税込みで一枚三百円。

本記事では,富山県における「環日本海諸国図」の改訂の取組を紹介.同改訂取組は,同県HPを参照*1
「1994年」に,同「県の環日本海交流拠点作りを国内にPRする」こと,「日本の重心が富山県沖の日本海にあることを強調する」ことを目的に,「見なれた世界地図の北と南を逆さ」に「作成」された同地図.今回の改訂により,「環日本海諸国図」から「環日本海・東アジア諸国図 」へと名称が改められている.その名称通り表示範囲が拡大されており,「縮尺」が「1/350万」から「1/450万」と変更することで,「台湾」は「一部」から「全土」へ,「中国南部」は「上海,杭州まで」から「香港,広州まで」「西部」は「北京まで」から「西安重慶まで」と「都市等の表示範囲」*2の広がりもある.同改訂版の地図も,同県HPを参照*3
「北を基準とした地図」に「従属」*4するような,既定事実や常識からの転換の可能性は,少し見方をかえれば常にある,ということを問いかけるような同地図.実は,下名の本務校の(雑然とした)研究室の壁面にも,随分前に購入させて頂いた「環日本海諸国図」を掲示.下名も,毎朝,同地図を見ることで,「見なれた」ものを固定的,自明に見ないことの面白さを感じている.新しく改訂された同地図もまた,購入しよう.

*1:富山県HP(報道発表一覧)「「逆さ地図」の改訂版が完成しました」(土木部 建設技術企画課,平成24年8月6日)

*2:前掲注1・富山県(「逆さ地図」の改訂版が完成しました)

*3:「((富山県HP(組織別案内土木部 建設技術企画課)「「環日本海・東アジア諸国図(通称:逆さ地図)の掲載許可、販売について

*4:山岡光治『地図に訊け!』(筑摩書房,2007年)164頁

地図に訊け! (ちくま新書)

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