兵庫県は4日、東日本大震災の復旧・復興を支援するため、宮城県に派遣する任期付き職員を採用する、と発表した。5日から募集を始める。被災地以外の都道府県が復興支援で任期付き職員を採用するのは、東京都に次いで2例目。
 県は現在、宮城県福島県に計24人を長期派遣しているが、被災地では復興まちづくりなどを担う職員が不足しているという。採用するのは、被災者の税手続き、事業用地の取得、産業や観光振興、防災計画の策定などに携わる一般事務職(15人程度)▽公共施設などの復旧事業に携わる総合土木職(10人程度)▽建築職(5人程度)‐の約30人。任期は来年4月から1年間で、最長5年まで延長できる。派遣先は、宮城県仙台市石巻市南三陸町など15市町。
 行政機関や企業などで正規社員として3年以上働いた経験のある人が対象。所定の申込書や小論文などを提出し、書類選考と個別面接がある。県人事課TEL078・341・7711(内線2433か2435)(岸本達也)

本記事では,兵庫県における任期付職員制度による被災地への職員派遣の取組を紹介.2012年4月7日付同年6月4日付同年9月20日付の各本備忘録にて記録した東京都の取組に続き,「被災地以外の都道府県」が行う「任期付職員」による「復興支援」の取組.同取組に関しては,同県HPを参照*1
同県の同取組における「募集人員」は以下の通り.

職種 採用予定人員 職務内容
一般事務職 15人程度 税務,用地,産業振興,復興支援に関する事務
総合土木職 10人程度 公共施設等の災害復旧事業に係る設計,積算,発注等
建築職 5人程度 公共施設等の災害復旧事業に係る設計,積算,発注等

まず,「任期」は,「平成25年4月1日を基本」に採用となり「平成26年3月31日」までの1年間.「最長5年まで更新」が可能とされている.次いで,「要件」は.「行政機関や民間企業等における正規の職員としての実務経験」が「通算3年以上ある者」とあり,年齢要件は設けていない.そして,「選考方法」は, 「平成24年11月上旬」に「1次選考」として「職歴審査」と「小論文」による「書類選考」が実施.1次選考の結果は,同年「11月7日」に合格発表.その後,「2次選考」として「平成24年11月下旬」に「個別面接」を実施.「合格発表」は,同年「11月30日」*2の予定とある.
同県の同取組と上記の東京都の取組と比べてみると,まずは,「一般事務職」を新たに設けられた点が特徴的.もう一つは,「派遣予定先」は,東京都の取組では3県に位置する市町村への派遣が予定され,実際にも実施されたものの,同県の同取組では,「宮城県内の被災沿岸15市町」*3に限定されていることも特徴的.これは,同県が構成されている関西広域連合が「東日本大震災」の折に実施した「カウンターパート方式」*4からの「路依存性」により,応援体制の「ロック・イン」*5によるものと理解することが適当なのだろうか.今後の募集状況は,要経過観察.

*1:兵庫県HP(県政情報職員採用試験採用選考試験情報(競争試験以外))「被災地支援に係る兵庫県任期付職員の募集

*2:前掲注1・兵庫県(被災地支援に係る兵庫県任期付職員の募集)

*3:具体的には,以下の通り.仙台市石巻市塩竈市気仙沼市名取市多賀城市岩沼市東松島市亘理町,山元町,松島町,七ヶ浜町利府町,女川町,南三陸町

*4:関西広域連合HP「 平成23年東日本大震災への関西広域連合の対応

*5:松本三和夫『構造災』(岩波書店,2012年)60頁

構造災――科学技術社会に潜む危機 (岩波新書)

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