国・地方自治体の非正規職員

国・地方自治体の非正規職員

本日は.同書.毎年度,本務校で開講しています「公務員制と人事管理」をテーマとした講義の文献用として,先日,研究費で入手.
同講義のなかで触れざるを得ないテーマがやはり「非正規」となる職員の現状.総務省に設置された地方公務員の短時間勤務の在り方に関する研究会が2008年1月に公開した『地方公務員の短時間勤務の在り方に関する研究会報告書』内での「参考資料」*1や2009年に自治労自治研作業委員会が公刊された『臨時・非常勤等職員の実態調査』*2はあるものの,前者は一度きり,後者は未組織自治体も調査対象とはされているものの,回答率が59.5%となる.そのため,同書でも言及されているように,「全体の臨時・非常勤職員数が分かる統計自体が存在せず,臨時・非常勤職員数の推移は把握しようがない」(46頁).「非正規」職員への人事管理の実態となると,2012年に刊行された『非正規公務員 (ヒセイキコウムイン)』のように,個別自治体への調査から窺い知るのみとなる.
本書もまた個別自治体への調査として「東京都特別区の某区(A区とする)の非常勤職員への聞き取り」(第5章で紹介されています,A区の職層制度からすると荒川区でしょうか)を踏まえつつ,職務内容,賃金,異動昇進の実態を分析.「聞き取り調査」のなかで述べられたという次の指摘は,しばしば窺うことがあるものの,改めて正規職員の職務の現状として,なるほどと思いました.

聞き取り調査の中でも,正規職員は数年サイクルで職場を異動する「素人」のため,むしろ非常勤職員が職場における中心的業務をになっており,また正規職員に仕事を教えることすらあるという声が聞かれた」(149頁)