本日は,同書.昨日の研究会のために,先週1週間,韓国滞在中も常に持ち歩いていました.読み終えるのが惜しくなるほど,本当に幸せな時間を過ごさせていただきました.
本書では,戦後琉球政府の公務員制度・人事行政の「実態」を,一次資料と新聞記事をもとに描き出し,これにより,琉球と日本との通時的・共時的連続性を明らかにされています.
各群島の任用・給与制度を描く第1章,琉球政府の成立から「公務員法」を描く第2章,そして,その任用制度と独自に構築されたデータベースをもとに任用実態を明らかにした第3章,「不」制定となった市町村公務員法の制定過程を描く第5章,琉球水道公社の職員制度の分析を通じて「職分分類制と任用の開放性」の「連合関係」(256〜257頁)を析出された第6章,日本への「復帰」過程のなかでの「円滑なバトンリレー」の反面,「琉球政府の「指導対象」視」(346頁)に至る過程を描く第7章,そして,琉球政府と日本を問う終章,のいずれの章も圧倒的な一次資料に基づくリアリティと,それを包み込む豊かな表現と概念化を通じて読みごたえがありました.
そのなかでもやはり,日本では未実施で終えた職階制が,琉球政府では設計され実施されたことを描く第4章は特に読みごたえがある章でした.下名個人的には,同章からは琉球公務員制度の「連続性」を超えた「創造性」(350頁)を感じましたが,とはいえ白紙から「創造性」ではないがゆえの,琉球政府と日本の職階制の「連続性」―これは前著からの問題意識の「連続性」かもしれませんが―,への次の指摘には,なるほどと思いました.

職階制が実施されたにもかかわらず,給与制度が引き続き職務分類機能を持ち,任用制度を呑み込んでいった様子からは,公務員制度の体系における給与制度の「生命力」の強さを読み取ることができる」(184頁)