個人住民税や固定資産税などの滞納額減と市町税務職員の徴収技術向上を目指し、県が2007年度から6年間設置した県地方税徴収特別対策室の徴収実績は、目標の総額180億円を超える約184億円だったことが2日までに、県経営管理部のまとめで分かった。それでも11年度の個人県民税徴収率は89・3%で全国ワースト2位。徴収率改善は組織改編で本年度、宇都宮、矢板、栃木の3県税事務所に新設された県地方税協働徴収担当の課題となりそうだ。
 徴収の項目別では、個人住民税が約47億円、固定資産税などが約137億円。このうち、徴収技術が向上したことで差し押さえ額が年々増え続け、総額は約15億円となった。徴収実績を重ねる一方、11年度の個人県民税未済(滞納)額は、県税収入全体の滞納額の7割を占める約71億円と、年々増加の一途をたどっている。
 県は、不況の長期化による固定資産税の徴収率悪化などで、市町村税徴収率が全国最低クラスに低下したことや、国の三位一体改革による税源移譲で個人住民税額が増え、結果として滞納が増えることを懸念。市町との協働業務を実施するため、同対策室を設置した。市町職員が県職員と徴収することで、滞納者の財産調査や差し押さえなどのノウハウを習得。徴収期間が短い12年度と震災の影響で徴収額が減少した11年度は20億円台だったが、07〜10年度は年間目標30億円を上回る約34〜35億円を徴収した。

本記事では,栃木県における地方税協働徴収担当の配置を紹介.
同県では,2007年に「地方税徴収特別対策室」を設置*1.2012年度末をもって同室は廃止され,新たに「個人住民税徴収対策を強化するため」「宇都宮・栃木・矢板県税事務所に「地方税協働徴収担当」」*2.を設置.各県税事務所では同県と同県内に位置する市町職員が担当となる.例えば,「宇都宮県税事務所」では「県5名,市町9名」,「栃木県税事務所」では「県4名,市町8名」,「矢板県税事務所」では「県4名,市町9名」*3となる.「主な業務」は「地方税法第48条による市町からの個人住民税の徴収引継ぎ」,「個人住民税の特別徴収の推進」,「市町職員の派遣受入れ」,「市町村税に係る専門的な滞納処分の支援等」*4とされている.
県税事務所へと新たに担当を設置されるのは,「市町から」の滞納分の「個人住民税の徴収引継ぎ」により,徴収や滞納処分の「独立性(bureaucratic independence)」*5確保する一方で,地域に分散的に設置されている県税事務所に置くで近接性もまた確保されるためだろうか.独立性と近接性の二つのディレンマに直面しがちな徴収業務(組織).同テーマも,学生さんの今年度の卒業研究の一つ.要確認.

*1:栃木県HP(県政情報県政の広報報道発表)「「地方税協働徴収担当」の設置に伴う結団式の開催について

*2:栃木県HP(県政情報財政・人事人事平成25年度の組織改編について)「平成25年度の組織改編について」(平成25年2月8日,経営管理部人事課)

*3:前掲注1・栃木県(「地方税協働徴収担当」の設置に伴う結団式の開催について)

*4:前掲注1・栃木県(「地方税協働徴収担当」の設置に伴う結団式の開催について)

*5:Dunleavy,Patrick and Leandro Carrera.(2013).Growing the Productivity of Government Services:Edward Elgar.p.81

Growing the Productivity of Government Services

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