東京都の舛添要一知事は都庁の中心とされてきた知事本局を7月に廃止する。同局は石原慎太郎元知事が設置し、尖閣諸島購入構想も担った旧来の都政の象徴的組織。代わりに政策立案・調整に特化する政策企画局を設置する。舛添氏は「単なる組織改正にとどめることなく新しい組織風土を根付かせる試みにしたい」としている。
 23日の定例記者会見で発表した。6月に開く都議会に組織条例改正案を提出。議決を得られれば毎年恒例の7月の幹部人事異動にあわせ、新局を発足させる。知事本局は、青島幸男知事時代まで政策報道室という名称だった。これを青島氏の後任の石原氏が2001年に知事本部に改組し、さらに04年に庁内で最も大きな組織単位である「局」にした。ただ都庁内外から「大きな秘書室でしかない」といった批判も出ていた。
 舛添知事は「トップマネジメント組織であるはずが、歴代知事の関心事項の単なる作業部隊になっている。今のままでは参謀本部としての体をなしていない」と主張。尖閣諸島やカジノ関連などの事務は他の部局に移管し、現在270人ほどいる職員は200人規模にスリム化する。新たに設ける政策企画局は「頭脳集団に純化させる」と強調。5月16日付で任命した知事補佐官と共に知事と各局をつなぐ立場で、長期計画づくりなどに当たるという。

本記事では,東京都における知事直近下位内部組織の再編方針を紹介.同方針は,2014年5月23日付の同都知事定例記者会見を参照*1
再編の対象は,同記者会見では知事が「一番接する機会が多い」と述べられた「知事本局」*2.同方針では,「知事本局を廃止」し,「新たに「政策企画局」を設置」する方針が示されている.再編の理由は,現行の知事本局の所掌事務の現状認識に基づくもの,とある.具体的には,同記者会見によると「歴代の知事の関心事項が寄せ集まり.単なる作業部隊になってしまって」いることや,「複数局にまたがるというだけで,知事本局の所管になっている業務も多い」との認識が示されいる.そのため,「政策企画局」では各局に「知事本局から」業務を「受け継」ぐことで,「現在270人ばかりスタッフ」を「約200人にスリム化」し,政策企画局を「頭脳集団に機能を純化*3するとの方針が示されている.
東京都組織条例第2条によると,「都の行財政の基本的な計画及び総合調整に関すること」,「知事の特命に係る重要な施策の企画及び立案に関すること」,「都市外交、報道及び青少年に関すること」*4が分掌が規定されている知事本局.同局の設置後には,「新規行政需要部門」の事務」*5が漸増したことで「集権的なのか分権的なのかわからない」*6業務内容となり,いわば「逆説的」に「ヨコ割りてきな機能を持つ組織が,実際はその機能ごとにタテ割り化している」*7との理解に基づく,同局再編の方針.
「小さな組織で大きな機能を果たし得る」「脳下垂体」*8の「頭脳集団」となる「政策企画局」の設置に伴う,同局以外の各局単位での「頭脳集団」ともなる,いわゆる「局企画」「部企画」*9での所掌事務の様子は,要観察.

*1:東京都HP(知事の部屋舛添知事記者会見)「舛添知事定例記者会見平成26年5月23日(金曜)

*2:前掲注1・東京都(舛添知事定例記者会見平成26年5月23日(金曜))

*3:前掲注1・東京都(舛添知事定例記者会見平成26年5月23日(金曜))

*4:東京都HP(条例・規則集東京都例規集データベース)「東京都組織条例」(昭和三五年七月二日,条例第六六号)

*5:稲垣浩「戦後府県企画担当部局の形成と展開」『年報行政研究41 橋本行革の検証』(ぎょうせい,2006年)146頁

橋本行革の検証 (年報行政研究)

橋本行革の検証 (年報行政研究)

*6:金井利之「書評 市川喜崇『日本の中央−地方関係 現代型集権体制の起源と福祉国家』(法律文化社,2012年)」『年報行政研究49 大都市制度の改革』(ぎょうせい,2014年)190頁

年報行政研究49 大都市制度の改革 (年報行政研究 49)

年報行政研究49 大都市制度の改革 (年報行政研究 49)

*7:松井望「第9章 組織・権限と機構管理」柴田直子・松井望編著『地方自治論入門』(ミネルヴァ書房,2012年)184頁

地方自治論入門

地方自治論入門

*8:東龍太郎『独善独語』(金剛出版,1978年)91頁

独善独語 (1978年)

独善独語 (1978年)

*9:打越綾子『自治体における企画と調整 事業部局と政策分野別基本計画』(日本評論社,2004年)64〜65頁

自治体における企画と調整―事業部局と政策分野別基本計画

自治体における企画と調整―事業部局と政策分野別基本計画