東京都は22日、騒音防止を定めた環境確保条例の規制対象から、小学校就学前の子どもの声を外す見直し案をまとめた。周辺住民の生活に支障を及ぼしているかを新たな基準にする。
 子どもの声に対する苦情がある一方、保育園では外遊びの時間を制限するケースが増えており、条例見直しで地域での話し合いを促し、問題解決を図る。見直し案によると、保育園や幼稚園のほか、児童館などの施設や公園での子どもの声を規制対象から外す。その上で、音の種類や頻度、防音対策、関係者同士による話し合いの内容から周辺住民への影響を判断し、必要があれば施設側に措置を取るよう勧告・命令できるとした。

本記事では,東京都における「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」の見直し方針を紹介.同方針は,同都HPを参照*1
同条例第136条では「何人も」「第68条第1項,第80条及び第129条から前条までの規定に定めるもののほか」「別表第13に掲げる規制基準」を超える「ばい煙,粉じん,有害ガス,汚水,騒音,振動」,「悪臭の発生をさせてはならない」*2と規定.「別表第13」*3に「規定」されている「規制基準は保育所や公園等で子供が発する声等に対しても適用」*4される.方や,「子供の声に関する苦情」があるなか,同「解決」には「子供の健やかな成長・育成という社会共通の利益」と「騒音被害者の快適な生活環境を追求する権利とのバランスを図る必要」*5との認識から「子供及び子供と共にいる保育者が発する音」は「別表第13に掲げる規制基準は適用しない」方針を検討.
具体的には,まず音の種類では「子供が発する声」や「足音,拍手等」の「身体動作の音」,「演奏する楽器の音,使用する」「ボール等」の「遊具」や「音響機器等の音など」,「子供と共にいる保育者」「子供と共に保育,スポーツ,遊び等の活動に参加するもの」が「発する上記の音」は「規制基準の適用除外」*6とし,場所では「保育所,幼稚園,認定こども園等」「児童館.児童遊園等の児童厚生施設」「公園」,これら「のほか知事が認めるもの」が「適用除外」*7となる.
適用除外後には,同条例で規定されている「「規制基準を定めていないもの」に該当すること」となる.そのため「子供の声等」が同条例「第136条の規定に違反しているか否か」は「数値規制を適用するのではなく」「人の健康や生活環境に障害を及ぼすおそれのある程度を超えているか否かによって判断される」*8ことになる.具体的には「一般社会生活上受忍すべき程度」であるか否かは「単に音の大きさだけによるのではなく」,「音の種類や発生頻度」「影響の程度」「音を発生させる行為の公益上の必要性」「所在地の地域環境」「関係者同士でなされた話し合いやコミュニケーションの程度や内容」「原因者が講じた防止措置の有無や内容等を十分に調査した上」で「総合的に考察する」*9方針が示されている.
「画一な基準」*10は設定しない同条例の見直し方針.とはいえ,「受忍」される「子供の声等」はどの程度の音量,音質となるのか,条例見直し後の運用状況は,要確認.

*1:東京都HP(これまでの報道発表2014年12月「子供の声等に関する規制の見直し」について意見募集します 平成26年12月22日,環境局))「環境確保条例における子供の声等に関する規制の見直しについて

*2:東京都HP(条例・規則集)「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」(平成12年12月22日,条例第215号)

*3:東京都HP(これまでの報道発表2014年12月「子供の声等に関する規制の見直し」について意見募集します 平成26年12月22日,環境局))「現行の環境確保条例第136条及び騒音に係る規制基準(別表第13)

*4:前掲注1・東京都(環境確保条例における子供の声等に関する規制の見直しについて)1頁

*5:前掲注1・東京都(環境確保条例における子供の声等に関する規制の見直しについて)2頁

*6:前掲注1・東京都(環境確保条例における子供の声等に関する規制の見直しについて)3頁

*7:前掲注1・東京都(環境確保条例における子供の声等に関する規制の見直しについて)4頁

*8:前掲注1・東京都(環境確保条例における子供の声等に関する規制の見直しについて)4頁

*9:前掲注1・東京都(環境確保条例における子供の声等に関する規制の見直しについて)4頁

*10:北村喜宣『環境法第2版』(弘文堂,2013年)142頁

環境法 第2版

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