政府の地方分権改革有識者会議は15日、地方自治体などが求めていた国からの権限移譲についての対応方針案を決めた。地方への企業誘致促進に向け、自治体が作る基本計画を国が認めるまでの手続きを簡素化し、期間を短くする方針を明記した。調整が難航している農地転用の許可権限などについても近く結論を出し、月内に対応方針案を閣議決定する。必要な法律の改正案を今月召集の通常国会に提出する。
 海外のビジネスジェットを受け入れる際、税関や出入国管理の職員を地方空港へ派遣しやすくする方針も盛り込んだ。現行では、空港を利用する2週間前までにCIQ(税関、出入国管理、検疫)を担う機関への通知が必要だが、原則3日前、緊急時は24時間前まで可能とする。海外からのビジネスジェット乗り入れを促す狙いで、佐賀県が提案していた。
 厚生労働省との間で調整が難航していた保育所の居室面積の特例を延長する方針も打ち出した。待機児童の多い東京など大都市圏では、保育所の居室面積を国に代わって自治体が決められる。特例は2020年3月末までの5年間延ばす。

本記事では,政府における地方分権改革に関する「提案募集方式」への対応方針案の策定を紹介.
2015年1月15日に開催された「第19回地方分権改革有識者会議」と「第18回提案募集検討専門部会」の「合同会議」*1にて審議された同方針案.同回の同会議に配布された資料を確認すると,対応は3パタンある*2.まず「法律の改正により措置すべき事項」は「所要の一括法案等を平成 27年通常国会に提出することを基本」とする.次いで「現行規定で対応可能な提案」は「通知等を行う」.最後に「調査を行うなど引き続き検討を進めることとしたもの」は「関係府省 とも連携しつつ」「内閣府」が「適切にフォローアップを行い」「検討結果」を「逐次,地方分権改革有識者会議に報告」*3する.
同対応により「866」の提案のうち「334」が「提案の趣旨を踏まえ対応」*4されることとなる(各省別の結果は,要確認).「時間こそ要」するものの,提案の実現が「着実に進」*5みつつもある同方式.検討事項を中心に,今後の検討状況は,要観察.

*1:内閣府HP(内閣府の政策地方分権改革地方分権改革有識者会議地方分権改革有識者会議開催状況)「第19回地方分権改革有識者会議・第18回提案募集検討専門部会 合同会議 議事次第(平成27年1月15日(木)10時00分〜11時00分)

*2:内閣府HP(内閣府の政策地方分権改革地方分権改革有識者会議地方分権改革有識者会議開催状況第19回地方分権改革有識者会議・第18回提案募集検討専門部会 合同会議 議事次第(平成27年1月15日(木)10時00分〜11時00分))「資料3-2 平成26年の地方からの提案等に関する対応方針(案)」1頁

*3:前掲注2・内閣府(資料3-2 平成26年の地方からの提案等に関する対応方針(案))1頁

*4:内閣府HP(内閣府の政策地方分権改革地方分権改革有識者会議地方分権改革有識者会議開催状況第19回地方分権改革有識者会議・第18回提案募集検討専門部会 合同会議 議事次第(平成27年1月15日(木)10時00分〜11時00分))「資料2 参考 平成26年の地方からの提案に関する対応方針別の分類状況」2頁

*5:神野直彦, 小西砂千夫『日本の地方財政』(有斐閣,2014年)210頁

日本の地方財政

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