名鉄小牧駅前に移転新築することが決まった小牧市図書館。一九七八(昭和五十三)年に同市小牧の現在地に開館した建物はポストモダン建築として注目を集め、建築を学ぶ大学生らが今でも視察に訪れている。山田久館長(52)は「図書館として使われている期間は残り三年ほど。大勢の市民に建物の価値も知ってほしい」と話している。
 住宅街から入って図書館の正面を見ると、ギザギザとした三角柱の外観が目に入る。フロアには設計で「光路」と呼ばれたスペースがあり、窓からは柔らかな日が差し込む。その先の正面は、市のシンボル・小牧山が望める。設計は機能性よりも装飾性を重視する。毎月一回、市図書館で映画上映会を開いているボランティアグループ「小牧市AV技術者の会」の穂積孝朗さん(68)は「ちょっと変わった設計になっていて、いい雰囲気を出している」と建物を評価する。山田館長も「造形に重点を置いた斬新な発想が織り込まれ、ユニーク」と指摘した。
 市図書館は、鉄筋コンクリート造り三階建て。若手建築家のグループとして知られた「象設計集団」が設計した。図書館を紹介する資料の中で、グループのメンバーの一人は設計のポイントを「外界を建物の中に引き込んでみたいという欲求」と説明している。ポストモダン建築は、機能ばかり追求した設計への反省から、装飾へと重心を置いた様式。特に高度経済成長期の終盤ごろから造られた庁舎や文化施設などで見ることができる。小牧市図書館は、ポストモダン建築を特集した著作でもその走りとして取り上げられ、建物そのものの価値は高い。
 新図書館は二〇一七年度末までに完成する予定。新図書館に対し、穂積さんは「市民が気軽に立ち寄れるような建物にしてほしい」と期待する。一方で、移転後に現在の建物をどうするかは決まっていない。ただ、雨漏りが絶えないなど老朽化が進み、用途は限られている。山田館長は「価値がある建物なので、将来も活用できればいいと思う。いいアイデアがあれば、ぜひ寄せてほしい」と呼び掛けている。(加藤隆士)

本記事では,小牧市における図書館の移転について紹介.
「敷地面積」は「2,919㎡」に,「鉄筋コンクリート造の地上3階建て」「延床面積」が「2,224㎡」*1の建物として1978年に「開館」*2した同館.新館は「駅前」に,「日常的に利用できる機能」と「有職者,企業,団体等広く利用者を惹き付けることができる新たな機能」を「併せ持つ施設」*3として建設が予定.「人と人をつな」*4ぐ場としての機能も想定されている模様.他方で,現在の図書館に関しては,本記事によると「現在の建物をどうするかは決まっていない」とのこと.現在の館の建物にどのような機能に重点を置き利活用されるかは,要観察.

*1:小牧市HP(市民の方へ生涯学習図書館図書館公式ホームページへ小牧市立図書館新小牧市立図書館建設基本計画について)「新小牧市立図書館建設基本計画書」(小牧市,平成21年3月)7頁

*2:前掲注1・小牧市(新小牧市立図書館建設基本計画書)10頁

*3:前掲注1・小牧市(新小牧市立図書館建設基本計画書)37頁

*4:猪谷千香『つながる図書館』(筑摩書房,2014年)217頁