長浜ラーメン」で知られる福岡市の観光名所、長浜地区(中央区)の屋台9軒が10日、約150メートル離れた市鮮魚市場南側の市道に集団移転した。歩道の占拠や騒音など地域住民からの苦情を受けて市が2013年に定めた屋台基本条例に基づく再配置の第1弾。市は今後、博多区の須崎地区や冷泉公園の屋台についても中央区内への移転を目指す。
 長浜の屋台は鮮魚市場が開場した1955年ごろに形成されたとされる。しかし、屋台設置後の歩道幅は約60センチになり、条例で定める「2メートル以上」を満たしていなかった。地元住民からも十分な歩道を確保するよう要望があり、移転を決めた。
 移転先は幅約5メートルの歩道で、屋台が置かれても条例の規定を満たしている。市は衛生環境向上のため約1750万円を投じて上下水道と電気、公衆トイレを整備した。長浜移動飲食業組合の澤野繁春組合長(64)は「これまで通りお客さんが来てくれるか不安はあるが、設備も整い安心安全は高まった。全国から訪れてもらいたい」と話した。
 福岡市内では現在120軒の屋台が営業している。【吉川雄策】

本記事では,福岡市における「屋台基本条例」*1の実施状況を紹介.
同市が施行する同条例の第2条では「現営業」に「掲げる基準に適合しない場所において屋台営業を行っている者」「がいる場合」,「当該再配置対象屋台営業者に対し当該基準に適合する場所に屋台の移転を命じる措置その他当該基準に適合させるために必要な措置」を講ずるとし,同条例では「屋台の移転の期限」「までに屋台を移転しない再配置対象屋台営業者」には「市道等占用許可を取り消」*2すとも規定.本記事でも紹介されている通り,「屋台設置後に十分な歩道幅員が確保できていない」同地区では,同市では同条例に基づき「屋台を適正な場所へ移転すること」に関して,「屋台営業者と協議を重ね」,2016年「2月10日に現在の舞鶴港線から長浜臨港線に移転」*3.「移転先」には,同市が「公衆便所も移設するとともに」「新たに」「上・下水道設備等」が「整備」*4されている.
「よく知っている相手には,厳しくできない」*5とも解される執行過程.同条例に基づく再配置の実施過程は,要観察.

*1:福岡市HP(市政情報・市民参加主な事業・取り組み屋台施策)「福岡市屋台基本条例について

*2:前掲注1・福岡市(福岡市屋台基本条例について)

*3:福岡市HP(市政情報・市民参加広報・報道報道発表平成27年度記者発表2月)「長浜地区における屋台の再配置について」(福岡市道路下水道部,平成28年2月8日)

*4:前掲注2・福岡市(長浜地区における屋台の再配置について)

*5:嶋田暁文「執行過程の様相」大橋洋一編著『政策実施』(ミネルヴァ書房,2010年)224頁

政策実施 (BASIC公共政策学)

政策実施 (BASIC公共政策学)