愛知県は本年度、名古屋市を含む県内全域の小中学生家庭の生活実態を把握するため、全体に占める生活困窮層の割合を示す「子どもの相対的貧困率」を調べることを決めた。全対象者の一割に当たる三万五千人に調査票を配布、回収する大規模な調査となる。
 子どもの貧困率は、標準的世帯の年間可処分所得の半分(二〇一二年調査で約百二十二万円)未満で暮らす十八歳未満の割合。厚生労働省による三年に一度の抽出調査では増加傾向にあり、最新の一二年調査は六人に一人(16・3%)と過去最悪だった。ただ地域別データはなく、都道府県や政令市では沖縄県しか調査していないことが、本紙の調べで明らかになっている。
 愛知県の調査対象は、小学一年は保護者のみ、小学五年と中学二年は子どもと保護者とし、十二月に学校を通じて調査票を配る。一七年三月に集計結果を公表し、情報は市町村にも提供する計画という。
 子どもの貧困率調査を全国のほとんどの自治体が実施していない実態を伝えた先月十七日付本紙朝刊の報道内容を受け、愛知県は「すべての子どもたちが生まれ育った環境に左右されることなく、健やかに育つ環境を整備する」ためには早急の調査が必要と判断し、急きょ、実施を決めた。調査結果は一七年度以降の施策に生かす。
 子どもの貧困は「都市部で深刻」との指摘もあり、調査対象に政令市の名古屋市も含むことへの協力を、大村秀章知事が直接、河村たかし市長に求めた。
 有識者らによる検討会議を今月下旬に立ち上げ、貧困率のほかに、調査票に盛り込む項目や分析方法を協議する。委員には後藤澄江日本福祉大教授や、名古屋市副市長を五月に退任したばかりの岩城正光弁護士らが就く。
 沖縄県の調査では、子どもに家庭での食事などを、保護者に対しては電気代などの滞納経験や教育への支出状況などを聞いた。同県の子どもの貧困率は、厚労省の調査を大幅に上回る29・9%(一五年)だった。

本記事では,愛知県における「子どもの相対的貧困率」に関する調査の実施方針を紹介.
本記事によると,同調査では「全対象者の1割に当たる」「3万5千人」を対象とし,具体的には「小学1年」は「保護者」,「小学5年と中学2年は子どもと保護者」に「調査票」を送付する予定の模様.同調査実施は,本記事によると2016年5月17日付の同紙が報じた,「9割が困窮層の割合を示す「子どもの相対的貧困率」の調査を実施せず」「具体的な予定もない」*1という同紙による調査結果が契機となった模様.同調査を通じた「データの準備」*2状況は,要観察.

*1:中日新聞(2016年5月17日付)「子どもの貧困率、9割未調査 都道府県・政令市

*2:阿部彩『子どもの貧困Ⅱ 解決策を考える』(岩波書店,2014年)229頁

子どもの貧困II――解決策を考える (岩波新書)

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