京都市の新たな財源を検討していた有識者委員会は10日、宿泊税の導入を提案する答申案をまとめた。急増する民泊をはじめ市内の全宿泊施設を対象に、宿泊者全員が、宿泊料の金額にかかわらず税負担する仕組みを求めている。先行して導入した東京都や大阪府よりも課税の対象を広げる内容で、市は8月にも答申を受け、制度設計に入る。
 答申案では、観光客の増加で宿泊施設の不足や交通渋滞が生じ、市民生活にも影響が及んでいるとして、課題の解決を図る財源として宿泊客に広く負担を求めることに「合理性がある」とした。旅館やホテルはもとより、住宅を使う民泊や、旅館業法の許可を受けておらず実態把握が難しい業者も含め全ての施設の把握に努め、税を徴収すべきとした。
 1人1泊当たり100〜300円を徴収している東京都や大阪府では、1万円未満の宿泊料金には課税していない。答申案では、低額料金の宿泊客も京都市の行政サービスを受けているとして幅広い負担を求め、宿泊料金が高額になるほど税額が高くなる方式をとるよう提案した。
 一方、修学旅行生は、将来の観光誘客につながるとして、免除が適当とした。
 検討委では、駐車場利用、別荘所有に対する新税2案も検討していたが、全ての駐車場や別荘の利用実態を確認する難しさがあるとして、継続して実務的な課題を検討するよう求めた。答申案は今月から来月にかけて市民意見を募集する。市は現時点で新税導入の時期を明確にしていない。

本記事では,京都市における財源の検討状況を紹介.
同市では,2016年8月に「住みたい・訪れたいまちづくりに係る 財源の在り方に関する事項」*1の検討を目的に,「京都市住みたい・訪れたいまちづくりに係る財源の在り方に関する検討委員会」*2を設置.2017年1月に公表された「中間まとめ」までに「駐車場への駐車」「市バス・地下鉄の一日乗車券の購入」「レンタサイクルの利用」「宿泊」「別荘の所有」「世界遺産の周辺部(バッファゾーン)への入域(協力金)」の6つの手法の「論点を踏まえて課題等を整理」し,「中間まとめ」では「駐車場への駐車」,「宿泊」,「別荘の所有」は「その他の行為に比べて負担を求める目的や趣旨が明確であり」「他の自治体での導入事例がある」ため,「3つの行為を中心に」「実現の可能性や具体的な制度」の「検討を深めていく」*3方針が提示.本記事によると,同委員会による「答申」では,3つの手法のうち「市内の全宿泊施設を対象」とする「宿泊税の導入を提案する」方針がまとめられた模様.「独自の地方税*4の提案に基づく,同税の整備状況は,要観察.