熊本市が23日、植木、城南両町と合併し、新熊本市としてスタートするのを祝おうと、地元の経済団体や市民団体などでつくる「政令指定都市推進協議会」(会長=中尾保徳熊本商工会議所会頭)は22日、新市の2012年4月の政令市昇格を願って市中心部をパレードした。
 幸山政史熊本市長のほか、藤井修一・植木町長や八幡紀雄・城南町長など約250人が参加。同協議会のマスコットキャラクター「きよくま」と「新熊本市誕生記念」と記した看板を持った8人を先頭に行進。幸山市長らも「目指せ! 政令指定都市」と書いた横断幕を手に、県警音楽隊の勇壮なマーチに合わせて下通アーケードなどを歩いた。

本記事では,熊本市への植木町と城南町の編入に伴う新市移行の取組を紹介.熊本市HP*1にも掲載されているように,2010年10月6日付の第491号及び第492号の総務省による「市町の廃置分合」の告示により,本日より新市移行.
2009年6月30日付同年7月17日付にて取り上げた同市の政令指定都市への移行.「平成13年8月30日」に決定された「市町村合併プラン」において「平成17年3月までに大規模な合併をした場合に限って,指定都市になることができる人口要件の基準を緩和する方針が打ち出され」*2たことを踏まえ,2010年3月23日付の共同通信による配信記事もあるように,今回の市町合併により新市では人口「約72万8千」となり,「新合併特例法は今年3月末で期限切れとなる」ものの,「期限内に合併したことで,2012年4月にも政令市に移行する見通し」*3もある.
2010年3月20日付の朝日新聞では,「今月31日時点で,全国の市町村数が1727になることが確定」となり,「市町村数は大合併直前(1999年3月)の3232から,ほぼ半減」*4になる,いわゆる「平成の大合併」(ただし,総務省HPでは,「総務大臣告示済み」の市町村を踏まえて,「平成22年3月31日には,1,728市町村になる予定」*5とも掲載されており,同記事報道の自治体数と同省掲載の自治体数と間に1自治体の差があることは,何故なのでしょうか.要確認).
平成の大合併」の当初には,「1都道府県1政令指定都市構想の推進」により「市町村中心の内政体制の実質的な実現のための初期の体制整備として強く求められる」*6ことが構想されたことがあったものの,結果的には,同市が,今後政令指定された場合には,20政令指定都市体制となり,「体制整備」の末期としては,16都道府県に位置することになる模様.制度対象の量的増加による制度自身の質的転化とも整理できる,政令指定都市制度の「希釈化」*7との制度理解が示されることもあるものの,同制度対象の量的増加という事実認定に伴う,制度自体の質的状況の推論的理解への検証に関しては,その契機の一つともいえる「「平成の大合併」も21世紀前半の地方自治の基盤を提供するもの」であり「その評価は21世紀半ばまで待つべきもの」*8との理解からすれば,政令指定都市制度の観察者の一人としては,今暫く,要経過観察の課題.
なお,蛇足.よくよく振り返ってみると,下名が,自治体行政を観察させて頂く機会の最初の年が1999年であったことからすれば,この間,いわゆる「平成の大合併」も,そのまなざしのどこかにはあったはず.ただ,下名個人は,「期限」付きという,やや刹那的な制度には関心を持ちに難い性分であるためか,この間,全く関連制度及びその動向の観察及び他の制度観察における合併要因の考慮は,まなざしからは,意識的に,やや逸らし続けてきたことを,昨今,やや反省気味.すこし,焦点を当てて見てみたい.

*1:熊本市HP(行政情報熊本都市圏・政令指定都市・合併)「熊本市・城南町・植木町合併決定!!

*2:安宅敬祐『指定都市の税財政制度の改革』(大学教育出版,2009年)27頁

指定都市の税財政制度の改革

指定都市の税財政制度の改革

*3:共同通信(2010年3月23日付)「熊本市、2町と合併 12年に20番目の政令市へ

*4:朝日新聞(2010年3月20日付)「市町村数11年前から半減 3月末で1727

*5:総務省HP「始まっています。新しいまちのチカラで新しい地域づくり 合併相談コーナー

*6:高島茂樹『市町村合併のそこが知りたかった』(ぎょうせい,2002年)104〜105頁

市町村合併のそこが知りたかった

市町村合併のそこが知りたかった

*7:金井利之『自治制度』(東京大学出版会,2007年)202頁及び真渕勝『行政学』(ぎょうせい,2009年)387頁

自治制度 (行政学叢書)

自治制度 (行政学叢書)

行政学

行政学

*8:金井利之「「平成の大合併」再考―合併特例新法期限を契機として」『Jurist』No.1396,2010.3.15,6,7頁