政府は23日の閣議で、2010年4月1日に相模原市政令指定都市とすることを決めた。28日に政令公布され、正式決定する。4月の岡山に次いで全国19番目の政令市誕生となる。県内の政令市は横浜、川崎と合わせ3市になる。戦後に市制が敷かれた市としては初の移行。
 閣議決定を受け、相模原市の加山俊夫市長は23日会見し、「市民や関係者に感謝したい。同時に自立都市としての責任を痛感している。人、企業に選ばれる都市を目指す。市民が安心と希望を持てる街をつくりたい。4月の移行に向け、万全の準備をしていく」と語った。
 政令市移行により、市は県から1084項目の事務を引き継ぐほか、事務執行のための財源が年間約91億円(07年度決算ベース)が移る見込み。移譲事務は、国県道の管理、都市計画の決定、児童相談所精神保健福祉センター、身体・知的障害者更生相談所の設置や特定非営利活動法人NPO法人)の設立認可など幅広い分野に及ぶ。また来年4月からは三つの行政区を設置。区役所は拠点整備を進めてきた橋本、相模原、相模大野駅周辺にそれぞれ置く。市は区名案をそれぞれ「緑」「中央」「南」と決定、区設置など政令市移行に伴う関連条例案など約150議案を市会12月定例会に提案し、移行準備を進める。
 松沢成文知事は「戦後に市制施行の市で全国初の政令市という若さ、都市と水源地を併せ持つというほかの政令市にはない可能性を持つ。大都市にふさわしい発展を期待する」とコメントした。相模原市は東京都町田市や八王子市と接し、東京のベッドタウンとして人口が増加。2000年に保健所設置市、03年に中核市となった。政令市移行は、07年に当時の小川勇夫市長が表明。06、07年の津久井郡4町との県内唯一の合併を経て、合併した場合に限り緩和された人口要件70万人を満たした。
 「広域交流拠点都市」を掲げる相模原市内は、12年全面開通予定のさがみ縦貫道路インターチェンジが2カ所できるほか、JR東海が計画するリニア中央新幹線の新駅設置も有力視されている。

同記事では,相模原市に対して,2010年4月1日に政令指定都市へ移行することを,2009年10月23日の閣議において決定されたことを紹介.政令指定都市制度の観察者の一人として,観察対象の増加は考察を深める機会にも結びつき,下名個人的にも嬉しい.
同日の閣議案件に関しては,首相官邸HPを参照*1.ただ,同日の閣議後の内閣官房長官記者会見発表*2では,2009年10月23日付の日本経済新聞で報道されているように,「(1)予算編成・執行プロセスの透明化(2)年度末の使い切りなど無駄な予算執行の排除(3)予算のついた事業が当初目標を達成したかを検証する「政策達成目標明示制度」の導入」を明記された,『予算編成等の在り方の改革について』*3閣議決定されたこともあり,こちらに比重が置かれており,2008年10月11日付の本備忘録でも取り上げた2008年10月10日に閣議決定された岡山市政令指定都市移行と同様に,同市の移行に関しては言及されずにいる模様.やはり,これもまた一つの「政令市都市制度の希釈化」*4の様相なのか,又は,名称は大都市「特例」とあるものの,「普遍的な指向」(198頁)の一つともいえそうか.
同一県内に3つ目に位置する政令指定都市として移行されることで,2009年10月24日付の同紙*5に報道された主に運用面に関する課題への対応があるとともに,依然制度面に関しては,伊藤正次先生により分析された「自治体警察制度・特別市制度の残滓ともいうべき指定市の市警察部と道府県公安委員に関する特例」*6のうち,特に,後者である警察法第39条第1項との制度的補完性が課題が想定されてはいるものの,現在のところ,同制度的課題への処方策については,把握ができず.どうなるのだろうか.要確認.

*1:首相官邸HP(官邸の会議)「閣議案件

*2:首相官邸HP(官房長官記者発表)「官房長官記者発表(平成21年10月23日(金)午前)

*3:首相官邸HP(官邸の会議)「予算編成等の在り方の改革について(平成21年10月23日閣議決定)

*4:金井利之『自治制度』(東京大学出版会、2007年)178頁

自治制度 (行政学叢書)

自治制度 (行政学叢書)

*5:神奈川新聞(2009年10月24日付)「課題山積も「若さ」に潜在力/政令市移行の相模原市

*6:伊藤正次「政令指定都市と住民自治」(首都大学東京・大都市自治制度研究会『道州制を中心とした広域的自治体及び大都市制度における住民自治に関する調査研究報告書(東京都知事本局委託調査)』(2008年3月),61頁