三月に合併し新市となった加須市は、新しい市章のデザインを募集している。
市章は、市の旗や封筒などに使われる市のシンボル。デザインのテーマは新市の将来像「水と緑と文化の調和した元気都市」で、指定の用紙に十五センチ四方でデザインする。八月九日までに同市総務課に提出する。問い合わせは市役所=電0480(62)1111。 (池田宏之)
本記事では,加須市における「市章」のデザイン募集の取組を紹介.同取組の詳細に関しては,同市HPを参照*1.
同募集に際しては,次の7つの要件が規定.まずは,「新生「加須市」の将来像である「〜利根川の流れとともに歩む〜水と緑と文化の調和した元気都市」にふさわしいデザインであること」,第2に,「文化,歴史,風土,自然など,新生「加須市」のイメージにふさわしいデザインであること」,第3に,「市旗,バッジ等をはじめ,ハガキ,封筒などの印刷物にも使用できるデザインであること」,第4に,「用紙の地色を含め4色以内であること.ただし,グラデーション(色の濃淡やぼかしなど)で表したものは不可」,第5に,「単色で表現してもイメージが損なわれないものであること」,第6に,「旧加須市,旧騎西町,旧北川辺町,旧大利根町の市町章及びほかの市町村章や都道府県章並びに商標等と類似しないものであること」,第7に「自作の未発表作品であること」である.
第1の要件である,同市の「将来像」に「ふさわしいデザインであること」とされている,「将来像」とは,同市の『新市基本計画』にて,「新市」において「創り上げ」る「新しい都市像」*2として規定.しばしば,「多くの合併自治体では,合併後数年のうちに,総合計画の策定作業を進めることにな」*3り,同策定作業においては,基本構想が策定されることになる.加えて,その基本構想内では「将来都市像」という定性的な目標を規定されることも観察される.その場合,「将来都市像」と上記のいわゆる新市建設計画に基づく「長期の器」*4ともいえる,「将来像」との関係については,下名は正直なところ,上手く整理が出来ていない.
その関係性のパタンを考えてみると,新市建設計画に規定された「将来像」を継続的に「将来都市像」として規定される「一元化路線」,新市建設計画の「将来像」と基本構想内の「将来都市像」とを個々に分立し規定する「分立化路線」,新市建設計画の「将来像」は規定しては置くものの,後法は前法に優先するかの如く,後都市像は前都市像に優先するとして,後都市像たる基本構想内の「将来都市像」は,前都市像が不在の如く「書き換え路線」も想定されなくもない.これらの都市像は,確かに「漠然としていてどんな内容でも入るよう」,「建前としては否定できないがありきたり」*5とも解されることがある.一方で,「その組織によって果たされるべき基本的な,理想的な目標」として「理念として,その組織の行動を制約する」*6効用を少なからず有することもなくもない.その場合,例えば,特段の環境・条件変化がない限りは,基本構想の改定毎に,定性的な新たな都市像づくりに思案することなく,単一に,更には,超長期の都市像として規定し続ける路線もまた,考え方次第ではありうるかとも考えられなくはなさそうか.
*1:加須市HP(行政情報:各課一覧:総務課)「新生「加須市」市章デザイン募集!」
*2:加須市HP(行政情報:新市基本計画)『〜利根川の流れとともに歩む〜水と緑と文化の調和した元気都市』28頁
*3:金井利之『実践自治体行政学』(第一法規,2010年)49頁 実践自治体行政学?自治基本条例・総合計画・行政改革・行政評価 (実践的自治体行政学の確立をめざす??行政学の俊英による最新刊!)
*4:前掲注3・金井利之2010年:49頁
*5:前掲注3・金井利之2010年:92頁
*6:田尾雅夫『成功の技法』(中央公論新社,2003年)105頁