江東区が来年度策定する新たな基本構想に区民の意見を反映させるため、区民百五十人が参加した「江東未来会議」が、区への提言をまとめ、山崎孝明区長に手渡した。区は提言を今月末に設置する基本構想審議会の基礎資料とする。(小林由比)
 同会議は、二十−八十代の百五十人で構成。昨年九月から今年二月まで計七回開き、五つの分科会で議論してきた。提言には、理想とする区の将来像を実現するための具体的な事業のアイデアが多数盛り込まれた。「子育て・教育」の分野では▽地域が一体となり子どもを育てていくため、住民をつなぐコーディネーターの育成▽子どもたちが農業体験ができるような場所を農山村地域に確保し、そこでとれた食材を給食に使う−などの案が出された。町風情のある北部と新しい街づくりが進む南部が一体感を持てるよう、南北を新型路面電車で結ぶほか、各地区内にコミュニティーバスによるきめ細かな交通網をつくるアイデアが示された。「行財政運営・協働」の分科会は、「区民の意見を聞いたり、協力を求めたりする機会が少ない」と指摘。職員と区民らがスタッフとなる「区民の声を生かす課」の設置や、仕事などで夜間、休日しか区内にいない世代などからも意見を聞くタウンミーティングの開催などが提案された。山崎区長は「審議会でも十分斟酌(しんしゃく)するよう求めたい。区民の皆さんの声を受け止めた基本構想にしたい」と述べた。

同記事では,江東区で基本構想策定に向けた基礎資料となる,区民参加により作成された提言の報告会開催の様子を紹介.大量動員型市民協働による計画策定が広まりつつあり,その事例の一つ.「未来会議」というネーミングに「希望」を感じさせる.
同区のHP*1を見てみると,5つの分科会に分けて,月2〜3回ペースで開催された模様.他の自治体ではあるが,実際に,公募市民の方々が参加される審議会に加えて頂いた経験からは,これは参加するだけでも大変なお仕事だなあと思う(本業がある方に取っては,少なからず影響があります).区民のみならず,特に,開催・運営された区職員の方々は大変なご苦労があったかと思われる.
これらの大量動員型市民協働による計画策定では,市民協働による会議と審議会の「二頭立て」方式を用いることが一般的.2回の会議を運営するコストや実現度によって生じる賞賛・非難回避を想定すれば,一元化した方が良いかとも常々思う.ただ,市民協働による会議の成果をもって構想・計画とはできないデリケートな問題がそこにはあるのだろう,恐らくは.