浜松市行財政改革推進審議会(会長、鈴木修スズキ会長)は27日の審議会で、市総合計画の理念を定めた基本構想と鈴木康友市長の政策が一致しないとして、市に見直しを迫った。山崎泰啓副市長は「(基本構想を)見直すようにと市長の指示を受けており、議論を始めたい」と述べた。基本構想は1年半前に議決されたばかりで論議を呼びそうだ。市の将来像を示す基本構想は06年12月に市議会が議決。これに沿った総合計画は北脇保之前市長が在任中の昨年3月に策定された。基本構想には05年合併の旧12市町村単位の都市内分権を基本とした「クラスター型都市づくり」が明記。おおむね旧自治体を単位とした12の地域協議会が住民の声を集約する一方で、7区ごとの区協議会も機能する。鈴木市長は「ひとつの浜松」として一体感の醸成を公約に昨年5月に就任。地域協議会を区協議会に一本化する方針を打ち出した。行革審委員からは「基本構想と矛盾が生じるのでは」と懸念する意見が出た。【竹地広憲】

同記事では,浜松市において,基本構想の見直し方針にあることを紹介.浜松市では,2007年より,新市長の下で,行財政改革推進審議会が精力的に行財政改革に関する審議を進めてきている.同会の審議事項は「市政経営全般」*1ともあり,その対象は限りなく広い.そのため,基本構想もまた含められた模様.同会での基本構想を巡る審議の様子は,同会HPを参照のこと*2.ただし,現在のところ,議事録は未掲載であり,今後も要確認.
もちろん,基本構想策定直後とも言える時期での見直しに対しては,同記事でも言及されるように,種々な意見も出てくることも想定される.ただ,基本構想といえども,決して不可侵ではあるまい.基本構想こそまさに,「市長の政治指導による「諸利益の統合」」*3としての「計画」であるならば,新たな首長のもとでの判断により,旧来の「総合性」を放棄し,新たな「総合性」*4が構築されることは致し方ないでもあろう.
西尾勝先生が嘗て分析されたように,当該計画が「総合的」であるか否かは,まさに当該自治体の政治状況と首長の政治指導力に係るともいえる.このことは反射的にではあるが,首長及びその審議会での答申等もまた,「地方政治要因の文脈依存的効果」*5をも意味してるのだろう.特に,行財政改革は,ひとり執行部内で完結しうる課題ではなく,特に,議会の議決事項である基本構想に関しては,特に議会からの反応も課題か.要経過観察.

*1:浜松市HP( 2007年度・第1回(開催日:2007年8月29日)「会議資料:戦略計画の進行管理及び市事業仕分けについて,行財政改革推進審議会について」1頁

*2:浜松市HP( 2008年・度第3回(開催日:2008年7月27日)「会議資料:戦略計画の進行管理及び市事業仕分けについて,行革審資料」2頁

*3:西尾勝行政学の基礎概念』(東京大学出版会,1990年)242頁

行政学の基礎概念

行政学の基礎概念

*4:金井利之『自治制度』(東京大学出版会,2007年)45頁

自治制度 (行政学叢書)

自治制度 (行政学叢書)

*5:曽我謙吾・待鳥聡史『日本の地方政治』(名古屋大学出版会,2007年)22頁

日本の地方政治―二元代表制政府の政策選択―

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