仙台市若林区役所は27日、市民向け窓口サービスの向上を図るため、区役所内に「総合案内」を設置した。「ホテルのコンシェルジュ(案内係)をイメージした」とPRしている。
 市と各区が取り組む区役所窓口改善業務の一環。1階の戸籍住民課前に総合案内窓口カウンターを設置し、窓口サービス員を嘱託・臨時職員を含めて6人配置。常時、4人が対応する。サービス員は区役所を訪れた市民に対し書類の記入を手伝ったり、申請や相談窓口への案内をしたりする。2階の税務課で行っている税関係の証明書発行を1階でもできるよう、戸籍住民課に「総合証明窓口」を新設。1カ所で複数の手続きが行えるようにした。各課の窓口の案内表示板も統一。一連の整備にかかった費用は約400万円。ほかの4つの区役所についても来年3月に総合案内窓口を開設する。

同記事では,仙台市若林区役所において,総合案内カウンターを設置したことを紹介.同市における2008年1月に庁内に「区役所等窓口サービス向上推進検討委員会」を設置し検討してきた,「区役所・総合支所の窓口サービス向上推進事業」に関する詳細は,同市HPを参照*1
『区役所等窓口サービス向上推進事業実施計画』によると,同記事でも紹介されている「総合案内窓口」の設置・「窓口サービス員」の配置・「総合証明窓口」の設置以外にも*2,「サイン計画」の策定と「案内表示」の整備,「情報発信コーナー」の設置,カウンターの改善,待合スペースの改善,案内や相談受付時における各種ツール(具体的には,「案内用ツール」(手続きする窓口を表示したカードや携帯用フロア図等)や,複数の窓口での対応が必要な場合に,市民が一度の説明で済むようにするため,最初の窓口で職員によって作成する「相談シート」等)の活用,区ホームページでの手続き案内の拡充,インターネットによる証明申請予約受付サービスの導入が計画されている.
財団法人日本都市センターによる,全国の市区に対して,2007年度(2007年11月〜2008年1月)に実施したアンケート調査(回収率74.0%)の結果*3からは,「窓口の総合化」は47.2%の回答自治体で採用しており,そのうち70.3%は「今後とも必要であり,進める方針である」との方向性を想定していることが分かる.ただ,窓口の総合化を行うことが,「住民の利便性」*4には必ずしも直結しないとの分析もある.となると,住民の視点からの窓口業務におけるあらゆる可能性を想定した,同市のような計画的又は多様な施策展開が適当か.
なお,2月21日の本備忘録に記した,今年聴き取り調査として訪問させて頂いた韓国ソウル特別市の麻浦区における窓口のIT化の様子が,日経BP社のITproにて紹介*5されている.端末による総合化,または,「総合化」を個人単位で行うものともいえる.実際に訪問した折には,各カウンターに端末が置かれていたものの,端末には更にそれぞれ職員さんもまた配置されていたように記憶する(結局は,個別対応なのだろうか).これまた一つの方策か.

*1:仙台市HP「区役所・総合支所の窓口サービス向上推進事業が始まります

*2:仙台市HP「区役所・総合支所の窓口サービス向上推進事業が始まります」『区役所等窓口サービス向上推進事業実施計画』2〜4頁

*3:財団法人日本都市センター『分権型社会の都市行政と組織改革に関する調査研究』(2008年3月)170頁

分権型社会の都市行政と組織改革に関する調査研究-市役所事務機構アンケート調査結果報告-

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*4:玉村雅敏『行政マーケティングの時代』(第一法規,2005年)106頁

行政マーケティングの時代―生活者起点の公共経営デザイン

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*5:ITpro(2008年10月26日付:電子行政)「韓国の自治体窓口IT化,国主導の統一システムを利用して効率化