山梨県内の18市町村(64・3%)が職員の結婚祝い金や永年勤続、レクリエーション補助など個人給付事業に公費を投入していることが、25日までの県のまとめで分かった。職員の福利厚生が目的とされるが、公費支出額は計1億140万円に上っている。厳しい財政状況を踏まえ、一部市町村は公費充当を取りやめるなど見直しを進めているものの、「厚遇」を残したままの市町村もあり、取り組みには“温度差”が出ている。
 個人給付事業については、多くの自治体が職員がつくる互助会に助成。互助会は職員から集めた会費と公費を合わせて運営し、祝い金などの形で職員に支給している。公費と会費が同一会計で運営されているところが多く、結果として個人給付事業の一部に公費が充てられている格好だ。
 地方公務員の厚遇が全国的に問題となる中、総務省は2005年、住民の理解を得られるよう個人給付事業の点検、見直しを各自治体に要請。公費支出額の削減などを促しており、取り組み状況をチェックしている。 県や総務省が主な個人給付事業13件について、08年度の状況を調べたところ、甲府市や山梨市、鰍沢町などが公費を投入。事業別では人間ドック補助への公費充当が最も多く16市町村。本人や家族が死亡した際の弔慰金が8市町村、職員が20−30年勤続した場合に支払われる永年勤続給付に5市町、結婚祝い金に4市町村が公費を充てている。市町村別では富士吉田、中央両市が八事業に公費を充当。富士吉田市は結婚祝いに5万円相当の記念品を贈っているほか、永年勤続祝いとして20年で現金10万円、30年で20万円を贈呈。中央市は退職金とは別に退会給付金5万円を支給、ボウリング大会などレクリエーションへの補助にも3000円支払っている。

公務員への福利厚生事業を行う互助会に対して県内市町村が2008年度に公費負担する額は、1人当たり3万3886円と47都道府県で最も高いことが総務省の調査で明らかになった。
 祝い金、見舞金の給付や人間ドックの補助などを行う互助会は従来、ほとんどが公費と会員掛け金で運営されてきた。しかし公費負担に関しては、「給料の二重取りだ」と批判が高まっている。県市町村課などによると、県職員(県警、県教育庁含む)と大館、男鹿、大仙3市職員の互助会は公費補助を受けていない。能代、横手、湯沢3市職員の互助会は解散した。残りの19市町村(一部事務組合含む)が2008年度予算で互助会などの福利厚生として計上した公費は、合計約3億2600万円(総務省調べ)。1人当たりの金額は3万3886円で、全国平均の約3倍。47都道府県中、最も高くなっている。事業費に占める公費の割合は38・9%と、ほぼ全国平均並み。公費負担の大部分を占めるのが、秋田市を除く18市町村が加入する県市町村職員互助会(本部秋田市)への負担金。会員1人当たり、自治体が給料の1・3%分を負担するほか、本人が1・8%分の掛け金を支払う。同会は市町村による負担の割合を年々減らしており、09年度の自治体負担は職員1人当たり給料の1・25%分とする。また、国が「民間にない福利厚生制度」としている職員の災害見舞金、医療費助成金を、09年度から掛け金のみで賄う。

両記事では,山梨県及び秋田県内のそれぞれの市町村における職員互助会の運営状況を紹介.両記事とも,総務省による「地方公共団体における福利厚生事業の状況について」に関する調べ*1等に基づき報道.なお,同調べを拝読すると,山梨県内市町村の互助会の場合,1人当たりの公費支出額は14,098円,公費率は45.0%とある(なお,最も公費率が高い各都道府県別の市町村の互助会は,岩手県内市町村の互助会の50.5%).
2008年5月18日付の本備忘録でも取り上げ神戸地裁判決に関する報道とともに司法判断からの公費支出への疑義の提示とともに,現実問題として,「母屋」である助成側の財政状況から,「はなれ」である互助会への公費補助を廃止する自治体も増加しつつある.上記の総務省の調べによると,「20年度までに互助会等に対する公費支出を全廃した団体数」として,都道府県では27(北海道,青森県岩手県宮城県秋田県山形県福島県群馬県,千葉県,新潟県福井県,長野県,岐阜県静岡県京都府大阪府和歌山県鳥取県島根県広島県徳島県香川県愛媛県高知県,福岡県,長崎県,鹿児島県),政令指定都市では1(大阪市),市町村では392あるとされる(ただし,都道府県と政令指定都市は首長部局)*2とある.
互助会に対する公費負担の継続・廃止,又,継続する場合のその事業内容に関しては2009年1月21日付の本備忘録でも取り上げた,地方自治法第232条の2にいう「公益上必要がある場合」の判断次第ともいえ,「公益」の判断のための「テスト」の確保が課題となる.その場合,結局は「公開可能性」*3に収斂するようにも考えられる.上記の総務省調べでは(6頁),市町村(政令指定都市を除く)に関しては,「公表あり」が824,「公表なし」が578とあり,確かに公表傾向はあるものの,依然非公表の現状がある(「互助会公費補助率」については,「公表あり」とするなかでも178に止まっている).となれば,公表にむけた取り組みがまずは課題か.