浜松市は新年度から、次の予算編成作業のために各部局が作成する政策(部局戦略)の基本方針を10月ごろに公表し、市民から意見を募集することを決めた。政策形成過程から、市民の要望を予算に反映させる仕組みに改める。鈴木康友市長が10日の市議会本会議の代表質問の答弁で明らかにした。
 市は平成21年度予算分から、市政の重点方針を決める内部会議「サマーレビュー(市政運営会議)」の協議結果の公開を始めたばかり。情報公開を積極的に進め、市政に対する市民の関心、参加意識を高める狙いがある。予算編成の作業は、サマーレビューなどを経て全体の予算配分を調整した後、各部局が事業や政策を固めて、予算要求する。市は今後、各部局ごとの予算要求の概要についても公表を検討する。鈴木市長は「予算過程の情報を分かりやすく、幅広く公開し、市民にとって身近な予算編成にしていく」と強調した。

同記事では,浜松市において,平成21年度予算編成分かから,各部局が作製する「部局戦略」の基本方針を公開し,市民の要望を予算に反映させる仕組みへと改める方針であることを紹介.2009年3月8日付の本備忘録でも取り上げた,同市における「サマレビュー」の結果公開に引きつ続き,同方針では,実際の予算編成過程への住民参加の方策.これもまた,広義的には,2008年12月17日付の本備忘録で取りあげた智頭町の取り組みのような,「住民を予算の決定仮定に巻き込み,関心を起こすととともに,住民共同ニーズをよりよく反映させようとする」*1「参加型予算」の一つともいえそう.興味深い.
同記事にある「部局戦略」とは,同市HPを拝見すると「政策提言(マニフェスト)を反映する市戦略計画を踏まえて策定した計画」とされており,「部の経営方針や重点事業の明確化」が目的とされてる.*2とある.部局戦略計画には,「部局戦略計画」と「課戦略計画」の2種類があり,計画内容は,「所掌」「資源配分」「環境分析」「ビジョン‐基本政策体系」「目標」「経営方針」「重点事業」が記載されることとなる(2頁).また,「計画年度終了後に部局単位で評価レポートを作成し,政策レベルの指標管理や重点事業の進捗状況について内部評価」(3頁)を行うともに,「市政モニターを通じて外部評価を実施し,内部評価結果をもとに,外部の視点から計画の進捗度合いをチェック」ともあり,その達成度の把握も庁内外から行う仕組みとなっている(具体的な記載内容は,同資料の5頁以下参照).
ただ,既存の同戦略計画を拝読させて頂くと,同記事にいう「基本方針」が具体的に,何処の箇所に該当するかは把握できず.新たに「基本方針」を策定されるのだろうか.また,同戦略計画の記述振りから想定すると,市からの公表に対して,一般の方が意見を示すことがなかなか難しい内容とも思わなくもない.来年度の作成段階の,どの段階で,どのような形態で公表されるのだろうか.要経過観察.

*1:諸富徹・門野圭司『地方財政システム』(有斐閣,2007年)241頁)

地方財政システム論 (有斐閣ブックス)

地方財政システム論 (有斐閣ブックス)

*2:浜松市HP(市政の取組市の政策(市の総合計画)総合計画/戦略計画)『部局戦略計画』1頁