府人事委員会は25日、来春入庁の職員採用試験で、社会人を対象にした「役付き採用」を初めて行うと発表した。民間感覚を府庁組織に導入しようと、橋下知事が社会人採用の拡大を決めたことを受けて実施。9月10日からインターネットで募集を始める。
 府庁では入庁後、主事、主査(係長級)、課長補佐級、課長級、次長級、部長級と昇格するが、役付き採用では主査として入庁する。対象は1969年4月2日〜1975年4月1日生まれで、学歴、職歴は不問。入庁後は海外との文化、経済交流や、会計、経理、監査などの業務を担当する。定員は1〜3人。9月28日正午締め切りで、11月1日に試験を行う。

同記事では,大阪府において,社会人経験者の採用を開始したことを紹介.採用後は,「担任事務の進行管理,困難案件の処理,主事・技師級職員の指導等を行う職員」である「主査級」として就任予定.同採用の詳細については,同府HPを参照*12008年12月28日付2009年1月17日付同年3月25日付同年7月20日付同年3月25日付同年7月20日付同年8月22日付にある,各本備忘録における「妄想」仮説である,自治体人事管理の「半開き(semi-open system)化」の取組の一つ.
同受験資格の要件を拝読すると,「昭和44年4月2日から昭和50年4月1日までに生まれた人」を対象としており,更には,「学歴不問」,「受験にあたっては,学歴・職務経験を問いません」と,その要件は広い.大阪府では,1968年に係長級への昇任試験制度を導入されており,同制度への観察結果からは,「試験を行うことによって,当然のことながら同一年次同時昇進は完全に崩れる」「同一区分(上級,中級等)の採用者の間での年功制も完全に崩れる」*2と,いう.そして,「いつも仕事を教えてもらっている先輩を,筆記試験が得意な後輩が追い越すことも当たり前」の様子があったとして,そして,「そのことが原因か定かではないが」との留保が置かれつつも,「大阪府では上司・部下,先輩・後輩の別なく互いに「さん」づけで呼ぶ慣習のできている部局が多い(186頁)」との,興味深い執務風景の観察記録も記されている.同記録から推察すると,「さん」という呼称を通じて,恐らく,執務環境においての職員個人間での水平的な関係性を読み取ることができるともいえそうか.
同府では,現在,主事から主査への昇任に際して,「主査級昇任考査」*3が実施されており,そのため,今回採用試験を通じて採用された皆さんは,同選考が免除されて就任された,ということになりそう.はてさて,その時には,もしも現在でも同府内で職員間で「さん」づけの慣習が残っているとすれば,「さん」づけの呼称がもつ意味合いはどのようになるのか,要観察.
なお,蛇足.例えば,学歴不問,職歴不問となると,例えば,現在府職員でも,「主査級昇任考査」への負担を回避する目的から,同採用に募集し,主査の職として採用を目指す選択肢も制度的には可能なのだろうか(勿論,選考と採用のそれぞれのコストとリスク衡量が前提となりますが).そうなれば,結果的には,あたかも「官職毎の個別の採用審査」*4に類似した方式ともなり(職ではないので,正確には異なりそうですが),興味深い.