県は13日、2010年度内に職員の残業をゼロにすると発表した。10年4月1日からの本格実施に向けた試行取り組みとして、残業の際は帰宅時間を明示したバッジを着けるなどの対策を11月にも複数の課でスタート。全庁実施に向け、順次各部局内で取り組み計画を作り、10年4月1日付で外部有識者などによる「推進本部」も置く方針だ。
 09年度は、やむを得ず残業する場合は許可を得た上で、退庁時間を明示するバッジ「カエルバッジ」を着用するなどの取り組みや資料作成作業の簡略化に着手する。10年度以降は、(1)時間外勤務削減の達成状況を管理職の処遇に反映させるチェック体制づくり(2)時差出勤の拡大(3)テレワークなど、自宅や自宅に近いオフィスでの勤務導入―を順次行う予定だ。
 時差出勤拡大では、午前8時半から午後5時15分までを定時とする時差出勤の幅を、現行の前後30分から最大前後90分に拡大する。県は「導入により午前7時から午後6時45分までほぼ12時間開庁でき、県民サービス向上にもつながる」と説明している。
 県によると、知事部局の職員1人の時間外勤務時間数は1カ月当たり約15時間という。

同記事では,神奈川県において,職員の超過勤務を2010年度以内でゼロ時間とする方針であることを紹介.興味深い取組.ただし,現在のところ,同県HPでは当該取組に関する情報を把握できず(恐らく,同日付の同県知事による定例記者会見*1として公開されるのでしょうか),詳細は把握できず.残念.
同記事にもある「やむを得ず残業する場合は許可を得た上で,退庁時間を明示するバッジ」を「着用」するという,いわゆる超過勤務の許可制を導入することで,「働く意欲満々」*2の場合の職員とともに,特に「過剰責任」「過重な拘束」*3から,法的には潜在的に行われている「サービス残業」を行う職員にとって,その顕在化が強いられることとなり,結果的に超過勤務全体の抑制効果を想定されている模様.
そのモニタリングとしては,「管理職における処遇に反映させるチェック体制」という,いわば「交差制裁(cross-sanctions)」*4を整備することにより,その「執行可能性」(86頁)を高めることも想定されているようでもある.ただ,いわゆる「ふろしき残業」「USB残業」*5とされる庁舎以外での「サービス残業」による,超過勤務の潜在化(又は,潜在的状況)へのモニタリング対策はどのような制度が想定されているのだろうか.要確認.

*1:神奈川県HP(知事のページ)「知事定例記者会見

*2:大内伸哉『雇用はなぜ壊れたのか』(筑摩書房,2009年)58頁

*3:濱口桂一郎『新しい労働社会』(岩波新書,2009年)47頁,48頁

新しい労働社会―雇用システムの再構築へ (岩波新書)

新しい労働社会―雇用システムの再構築へ (岩波新書)

*4:クリストファー・フッド『行政活動の理論』(岩波書店,2000年)89頁

行政活動の理論 (岩波テキストブックス)

行政活動の理論 (岩波テキストブックス)

*5:中野雅至『雇用危機をどう乗り越えるか』(ソフトバンククリエイティブ,2009年)138頁

雇用危機をどう乗り越えるか (ソフトバンク新書)

雇用危機をどう乗り越えるか (ソフトバンク新書)