兵庫県が節電対策で導入したサマータイムに伴い、定時退庁を進めた結果、7、8月中の職員の超過勤務時間は前年同期比で約3割減り、約1億円の人件費削減につながったことが27日、分かった。県は一部業務の簡素化や仕事の効率化が奏功したとみている。
 県は6月22日から3カ月間、本庁や県民局などで始業時間を45分早めるサマータイムを導入。残業時間が増えないよう、毎週2回の定時退庁日には午後6時に職場を施錠するなど徹底した。7、8月は係長級以下の超過勤務手当の支給対象者6132人で、超勤が前年同期比計3万6745時間減少。人件費は計約9964万円の削減となった。職員1人当たりの超勤時間は1カ月で2・7時間減ったという。
 井戸敏三知事は「来年度予算編成に向けた夏季の重点施策ヒアリングを簡素化したほか、職員の意識が高まった」と説明。今後も毎週2回の定時退庁日を続け、午後7時の施錠や残業申請の提出を求めていく。(井関 徹)

本記事では,兵庫県における節電対策の取組結果を紹介.7,8月でのサマータイム導入に伴う,同期間での超過勤務時間の縮減の結果を報道.同結果に関しては,2011年9月27日に開催された同県の知事定例記者会見時の配布資料を参照*1
同資料を拝読すると,まず,「超勤時間」は2010年度が「120,834」時間であったなか,2011年度は「84,089」時間と「323,048」時間の減(「30.4%」減)となり,「超勤額」は「323,048」千円から「223,406」千円へと「30.8%」,「99,642千円」の減であったことが分かる.あわせて,同資料では,「本庁各部局」と「県民局」それぞれの結果も整理.その結果,本庁各部は,勤務時間は「66,765」時間から「44,318」時間へと「33.6%」「22,447」時間の減,超勤額は「178,865」千円から「118,483」円へとない,「60,382」千円,「33.8%」の減.方や,県民局では,勤務時間が「54,069」時間から「39,771」時間と「14,298」時間, 「26.4%」の減,超勤額は,「144,183」千円から「104,923」千円へと「39,260」千円 ,「27.2%」*2の減となる.割合的には,本庁各部での削減率が高い結果であったことが分かる.
各部単位での「職場組織の形成原理」としての「大部屋主義」*3を,超過勤務という観点から眺めた場合,「自分の作業が終わったからさっさと仕事を終えて帰る,という行動様式を取ることが難しく,結果的に職場集団の全員が仕事を終えるまでみんなで残業」*4するとも観察されている,「いつでも残業できる状態にある働き方が可能なワーク・ワーク」*5型の職場環境に至ることも考えられなくもない.もちろん,「本庁各部」ではその業務の繁忙期と閑散期の格差があるものの,「本庁各部」の更なる内訳も分かると,個々の職場での個々の職員の方々の超過勤務を抑制するための執務スタイルの変更への「大部屋主義」であることによる「協力」*6の取組の様子も窺えそうでもあり,興味深そう.要確認.

*1:兵庫県HP(知事記者会見知事定例記者会見(2011年9月27日(火)))「サマータイム期間中(7月・8月)の超過勤務実績およびサマータイム後の退庁促進

*2:前傾注1・兵庫県サマータイム期間中(7月・8月)の超過勤務実績およびサマータイム後の退庁促進)

*3:大森彌『官のシステム』(東京大学出版会,2006年)60頁

官のシステム (行政学叢書)

官のシステム (行政学叢書)

*4:濱口桂一郎『日本の雇用と労働法』(日本経済新聞社,2011年)133頁

日本の雇用と労働法 (日経文庫)

日本の雇用と労働法 (日経文庫)

*5:武石恵美子・佐藤博樹「時間意識の向上のためのモデル事業と働き」佐藤博樹, 武石恵美子編著『ワーク・ライフ・バランスと働き方改革』(勁草書房,2011年)111頁

ワーク・ライフ・バランスと働き方改革

ワーク・ライフ・バランスと働き方改革

*6:大森彌『政権交代自治の潮流 続・希望の自治行政学』(第一法規,2011年)283頁

政権交代と自治の潮流 続・希望の自治体行政学

政権交代と自治の潮流 続・希望の自治体行政学